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今日は晴天、ぼけ日和

先が見えない介護にギスギス そんな家族の空気をガラリと変えてくれるのは

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

言い合う家族

我が家で介護が始まってから、 

みんなの声が大きくなって、
ケンカも増えた。

明るかった家が、
空気から変わってしまった。

いったい我が家はどうなってしまうのか。

話し合う家族

しかも、医療やお金のこと。
深刻な話をすることが増えた。

明るく、ひといきつかなきゃ。
頭では分かっているのに、
家族だけだと、切り替えられない。

そんな毎日の繰り返し。
——でも!

「こんにちは。訪問介護ヘルパーです」

訪問介護ヘルパーさんがくると、
うちの空気が変わる。

ひとすじの光がさしこむ。

「大丈夫。なんとかなる」

そうやって心が笑うのも、
あなたがいてくれるから。

「自分はさほど、ご本人とご家族の助けになれていないんです」

端からは信じがたいことかもしれませんが、
これは私が、訪問介護ヘルパーをしている方々から、たまに聞く言葉です。

それはひとえに謙虚なご性格の方々が多いからというわけではなく、

ご家族やご本人の大変さを、
誰よりも身近に感じているからこそ、出てしまう言葉なのでしょう。

そしてそこには、
もっと力になれたらいいのに、という切なる願いを感じます。
その仕事は、楽なものではないというのに。

また一方で、ご家族さんやご本人さんから、よく聞く言葉があります。

「ヘルパーさんが来てくれて、本当に助かっている」と。

その思いは、例えばオムツ介助や買い物などの、一連の業務への感謝にとどまりません。

先行きが見えづらい、介護の日々。

そこにいると「自分の人生はどうなってしまうんだろう」と、
深刻な感情にさいなまれることもあります。

でもそんな毎日に、訪問介護ヘルパーさんがやってきてくれることが、
どれだけ心の頼りになることか。

仕事に貴賤はありませんが、私自身はどうしても、

日々、誰かの人生を支えている訪問介護ヘルパーという職業は、
尊い仕事と思わずにはいられないのです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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