最近、もの忘れでミスを連発 夫には責められ、不安です【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
東京都認知症介護指導者でデイサービススタッフの坂本孝輔さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.最近もの忘れが多く、ものをしまった場所がわからなくなったり、水を出しっぱなしにしてしまったりします。ミスをするたびに夫からは「ちゃんと整理しておかないから悪い」「水道代がもったいない」などと責められるので、いつも不安な状態です(79歳・女性)
A.もの忘れが認知症によるものなのか、加齢によるものなのか、まずは受診して診断してもらうことをおすすめします。相談者の状態を正しく理解できれば、夫のイライラも減るかもしれません。医師の話を直接聞いたほうが夫も理解しやすいと思うので、受診の際は夫婦で一緒に行くほうがいいと思います。さらに可能であれば息子や娘など、より若い世代の人も同行できるといいですね。医師に対しても遠慮せずに冷静に質問ができると思います。夫が同行できなかったとしても誰かに付き添ってもらい、病気のことも第三者から夫に伝えてもらうほうが受け入れやすいと思います。
ただ、相談者はご自身の現在の状態をよくわかっています。認知症の人は症状を自覚する能力が低下していることが多く、ミスを責められても何に対して責められているのか全くわからないということもよくあります。このため、相談者の場合は単なる加齢によるもの忘れの可能性もあります。そうなると、ミスを夫が責めるのはご夫婦の問題ととらえて、考えていかないといけないですね。
夫は何に対してイライラしているのでしょうか。もしかしたら、もの忘れそのものを責めているわけではないのかもしれません。例えばですが、もともと相談者の整理の仕方が気に入らなかったなど、別のことに対して不安や不満などがあることも考えられます。
相談者から本人に直接聞きづらいと思うので、妻の何に対してイライラしているのかということを親族や友人、近所の人など第三者から聞いてもらうといいと思います。夫婦の関係については、客観的な視点で第三者から意見をもらうことも大事です。
たとえ認知症ではなかったとしても、今後高齢になるにつれて夫婦だけでは解決できない問題も増えていくと思うので、周囲に協力者をつくっておくことをおすすめします。
【まとめ】もの忘れが多く、ミスをするたびに夫から責められていつも不安な状態のときには?
- かかりつけ医や認知症の専門医を受診して、もの忘れが加齢によるものか認知症によるものか診断してもらう
- 認知症ではない場合、夫が相談者に対して責めてしまう理由を第三者から聞いてもらうなどして探ってみる
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫