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交流ない叔母の施設入居 身元保証人になりたくない【お悩み相談室】

書類を見て悩む男性、Getty Images
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認知症地域支援推進員で介護支援専門員の田中リエ子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.叔母(83歳)が介護施設に入居することになり、担当のケアマネジャーから身元保証人になってほしいと連絡がありました。すでに他界している母と叔母は仲が悪く、ほとんど交流がなかったので、戸惑っています。面倒なことは引き受けたくないです(55歳・男性)

A.ほとんど関係性がない叔母の身元保証人を頼まれたら、戸惑うのは当然のことだと思います。自分の親であっても「完全に縁が切れているから」と、拒否される方もいます。

介護施設や老人ホームなどでは多くの場合、身元保証人が必要になります。ただし、その役割については、施設によって様々です。特に気になるのが金銭面の負担ではないでしょうか。身元保証人の役割として、入居費用の滞納があった場合の連帯保証人のような役割を求められるケースもあります。交流がなかった叔母の連帯保証人になるのは、確かに負担が大きいと思います。そのほかは、トラブルが起こったときなど緊急時の連絡先、本人の判断能力が低下した場合の意思決定、亡くなったときの身柄の引き取りなど、身元引受人としての役割があります。

まずはケアマネジャーや施設側に身元保証人の役割について、よく確認することをおすすめします。各施設にはサービスの内容などをまとめた「重要事項説明書」があり、そこに身元保証人の役割について記載されているので、見せてもらうのもいいでしょう。

そのうえで、できること、できないことをお伝えすればいいと思います。身元保証人を依頼されたからといって、必ず引き受けなければならない義務があるわけではないので、すべて断っても問題はありません。その場合は身元保証人を代行する保証会社に依頼するか、身元保証人が必要ない別の施設を検討することになるかと思います。

私が関わってきたご家族の中には、親と縁を切ってはいるが、緊急時や亡くなったときの連絡先だけなら引き受けるという方もいます。亡くなった場合でも連絡があるだけで、身柄を引き取る義務はありません。身柄の引き取り先がなければ、役所が対応することになります。

なお、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険サービスを利用して入居する介護保険施設の場合は、「法令上は身元保証人等を求める規定はない」「入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」と通知されています(厚生労働省「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」より)。

身内として気にかかるようであれば、連絡先だけは伝えておくといいかもしれませんが、身元引受人になることを完全に断っても罪悪感を抱く必要はないと思います。

【まとめ】ほとんど交流がない叔母の身元引受人を頼まれたものの、面倒なことは引き受けたくない場合は?

  • ケアマネジャーや施設側に身元保証人の内容を確認する
  • できること、できないことを伝えて、できそうなことだけ引き受ける
  • 身元引受人になることを拒否してもよい

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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