認知症とともにあるウェブメディア

お悩み相談室

デイサービスから勝手に出る父 施設が合っていない?【お悩み相談室】

建物から立ち去ろうとする高齢男性、Getty Images
Getty Images

認知症地域支援推進員で介護支援専門員の田中リエ子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の父(85歳)はデイサービスに通っているのですが、先日勝手に一人で出かけてしまったようなのです。幸いすぐに見つかったのですが、実はよくあることのようで、デイサービスから「困っている」と言われました。デイサービスを変えたほうがいいでしょうか。(59歳・男性)

A.デイサービスでは、利用者を自宅玄関まで迎えに行ってから自宅に送り届けるまで、責任を持って利用者を見なければいけません。勝手に出ていかれるというのは、最も避けなければならないことです。相談者のケースではすぐに見つかったので本当によかったですが、私が知っているケースでは、そのまま行方不明になってしまった方、事故に遭われてしまった方がいます。認知症でも足腰はしっかりしている方は多く、短時間で遠くまで行ってしまうこともあります。デイサービスとしても、本当に困っている状況だと思います。

勝手に出ていかれないために、細心の注意を払い、簡単に外に出られないような設備にしているとは思いますが、実際問題として、常に1対1のケアができるわけではないので、どうしても目を離してしまうタイミングはあります。

そもそもお父さんはなぜ、勝手に出ていこうとしたのでしょうか。認知症のある人が、ある場所から帰りたがることは、しばしば見られる行動です。その際には、状況をしっかり観察することが大切です。自宅にいるときは勝手に出ていくことがないのであれば、デイサービスにいると、自分が意図していない場に連れてこられたという思いがあるのかもしれません。周囲に人がたくさんいて、居心地が悪いということもあるでしょう。

まだ通い始めたばかりであれば、徐々に落ち着く可能性がありますが、ある程度の期間通っているのであれば、デイサービスを変えることを検討したほうがいいかもしれません。認知症対応型のデイサービスであれば、少人数制なのでスタッフ一人あたりの利用者数が少なく、手厚いサービスを受けられる傾向があります。認知症の専門知識があるスタッフがいるので、認知症特有の症状に合わせたケアによって安心感が得られ、勝手に出ていかなくなるかもしれません。

また、デイサービスで漫然と過ごすのではなく、好きなことに熱中できる時間を持つことも有効です。私が知っているデイサービスでは、釣りが好きな認知症の利用者のために釣り堀に連れて行ったり、アクティブな方はボーリングに連れて行ったりと、利用者が楽しく過ごせるように工夫しています。ケアマネジャーにお父さんの趣味や好きなことを伝えて、通いやすい場所というだけではなく別の視点からデイサービスを探してもらうと、お父さんに合ったデイサービスが見つかるかもしれません。

同じことが繰り返されないように、ケアマネジャーともよく相談して、お父さんも家族も安心して過ごせるようになるといいですね。

【まとめ】認知症の父がデイサービスから勝手に一人で出かけてしまい、スタッフから「困っている」と言われたときには?

  • 勝手に出ていこうとする理由を考える
  • ケアマネジャーに相談して、認知症対応型のデイサービスやお父さんの趣味嗜好(しこう)に合ったデイサービスを見つけてもらう

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア