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義妹が来る度、義母と私の悪口 もう介護したくない【お悩み相談室】

車椅子を押す女性、Getty Images
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認知症地域支援推進員で介護支援専門員の田中リエ子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

 Q.要介護2の義母(79歳)と同居しています。月に1回、義理の妹が子連れでやってきますが子どもの相手を私に任せ、義母の部屋で2人で私の悪口を言い合っているようです。むなしく、この先義母の介護を続ける気になれません(47歳・女性)

A.普段は相談者が義母の介護をしているわけですから、義理の妹が来たときくらいは介護を任せて、ストレス発散できるようなことをして過ごしたいですよね。それができないというのは、義妹が介護は相談者の仕事であると思い込んでいたり、介護の大変さを理解していなかったりするからかもしれません。しかし、先が見えない介護を1人で続けるというのは、肉体的にも精神的にも大変なことです。さらに2人から悪口を言われているとなると、なおさらですよね。

私が知っている話では、相談者と同じような状況にあったお嫁さんが突然家を飛び出してしまい、そのまま帰ってこなかったというケースがあります。我慢を重ねると、突然限界が来ることもあるので、まずは夫に「義妹が来たときは、介護を任せて休みたい」など、介護を分担できるように要望を伝えてはいかがでしょうか。ただし、家族の中だけでこうした問題を解決するのは難しいこともあります。

義妹は月に1回、数時間義母とおしゃべりをしているだけだとすると、義母の体の状態やどんな介護が必要なのかということが理解できていないかもしれません。要介護2ということは介護保険サービスを利用していて、担当のケアマネジャーがいると思います。ケアプランの内容について、ケアマネジャーやサービスの担当者が家族と一緒に共有したり、意見交換したりする「サービス担当者会議」を実施しているはずなので、この場に義妹にも参加してもらうのはいかがでしょうか。そこで役割分担を明確にし、ケアマネジャーから義妹にどの部分の介護を担ってほしいのかを伝えてもらうと、家族から伝えるよりもスムーズに受け入れてもらえると思います。

地域包括支援センターで相談するのも1つの方法です。私が勤める地域包括支援センターでも、こうした家族の問題に関する相談を受けることがよくあります。家族の問題は個々の背景などによるので、解決策を提案するのは難しいのですが、相談される方はストレスを感じていることが多いので、息抜きについてアドバイスするようにしています。愚痴を聞いてもらっただけで気持ちが前向きになれたという方もいますし、家族の会など地域で同じような境遇の方が集まる場を紹介することもあります。

相談者も気持ちを吐き出せる場があるといいですね。地域包括支援センターに行くと、そうした場を紹介してくれるはずなので、一度相談してみてほしいと思います。

【まとめ】義妹が義母の介護を手伝わないばかりか、2人で自分の悪口を言っている。介護を続ける気になれないときには?

  • 義妹と介護を分担したいことを夫に伝える
  • サービス担当者会議に義妹にも参加してもらい、義母の現状や必要な介護について理解してもらう
  • 自分が気持ちを吐き出せる場を持つ

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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