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今日は晴天、ぼけ日和

照りつける日差しがもの悲しい8月 戦争体験者から引き継ぐ反戦への思い

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

真っ赤な太陽

また、夏がきた。

真っ赤な太陽、

私たちの肌を黒く焦がす、
8月が。

帽子をかぶるひと

でもこの夏、
あの人はもういない。

8月の太陽を
遠く恨むように見ていた、
あの目には、

もう会えない。

大きな木

それでも、あのまなざしは、

まだここに
向けられている。

「二度と、戦争を許すな」と

私たちを空から、見守って。

最近、真夏の太陽にじりじり肌を焼かれながら、

ふと、気が付いたことがあります。

今年はまだ一度も、
高齢のどなたの口からも、
戦争の話を聞いていないな、と。

私は普段、高齢の方々と接する機会が多いのですが、  

8月にもなって、
まったく当時の話を耳にしない年は、
思えば今年が初めてでしょう。

それもそのはずで、去年を思い返しても、
私の身近な戦争体験者の方々は、
寄る年波につれ、ご逝去されてゆきました。


8月の太陽が落とす影は、
色濃くて、どこか悲しい。

——それが、私の日本の夏の印象です。

どなたも、多くは語られませんでした。

でも、ひとことふたこと、
時には涙をひとすじ流しながら
ぽつぽつと話してくださったそれは、

「戦争を許してはならない」と、

その肉声と確かな体温で、
私の身に刻みこんでくださいました。

時と共に、その方々が去りつつある今、

平和を伝える明かりは、
どこに灯(とも)っていくのでしょうか。


2023年8月15日。
終戦から、78年を迎えます。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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