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ヘルパーが帰るとニコニコから豹変…私に暴言を吐く夫【お悩み相談室】

頬杖をつくひと、Getty Images
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訪問介護管理者の滝口恭子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

 Q.夫(81歳)は認知症ですが、ヘルパーさんが来ると驚くほどしっかりして、昔の話などもニコニコしながらはっきりと話します。一方でヘルパーさんが帰ると、私に暴言を吐いたり、不機嫌になったりするので困っています(78歳・女性)

A.なぜ自分にだけ不機嫌な態度をとるのか。ヘルパーに対して機嫌よく話しているからこそ、余計につらく感じますよね。認知症の人は、一番身近な人に対して最も症状が強く出やすいと言われています。遠方に住んでいる家族が遊びに来たときにはニコニコしているのに、帰ったとたん同居している家族に不機嫌に接するというのもよく聞く話です。

原因は特定しづらいですが、このお悩みからわかるのは、夫はヘルパーと相談者を明確に区別できているということです。認知症がさらに進行していくと、人を認識しにくくなっていくので、人によって態度を変えるような場面も減っていくのではないでしょうか。つらい時期かもしれませんが、この状態がずっと続くわけではないということを理解して、今をどう乗り切るかということを考えてほしいと思います。

乗り切るために最も大事なことは、1人で抱え込まず、誰かに話すことです。地域で開催されている認知症カフェなどは、同じ悩みを持つ人や専門家が参加しているので、思いを共有したりアドバイスをもらえたりするでしょう。人に話すことで、精神的な負担を少しでも軽くしてほしいと思います。

認知症の人はヘルパーのことを全く受け入れられないというケースもあるので、ヘルパーがいる間だけでも機嫌よくしているというのは、いいことでもあります。ヘルパーは、認知症の人への対応を学んで、工夫しながら接していると思います。どんなふうに夫に声かけしているのかなど、観察してみるのもいいかもしれません。ヘルパーの声かけの仕方をとり入れることで、暴言などが減る可能性もあるので、試してみてはいかがでしょうか。

ヘルパーが訪問している時間は長くても1時間程度だと思うので、それ以外の時間を夫婦だけで過ごしていることを考えると、相談者に大きな負担がかかっているのは間違いありません。2人が離れる時間を長くするために、夫にデイサービスに通ってもらえると負担は軽減すると思います。認知症の人はデイサービスに行くのを嫌がるケースも多いのですが、週に1回、もしくは半日でもいいので行ってもらえるといいですね。

夫の内面を変えるのは難しいので、自分自身の負担を軽くすることを最優先に考えて、今を乗り切ってほしいと思います。

【まとめ】認知症の夫が、ヘルパーが帰ると不機嫌になったり、暴言を吐いたりするときには?

  • この状態が長く続くわけではないので、今をどう乗り切るかを考える
  • つらさを1人で抱え込まず、認知症カフェなどに参加して相談する
  • ヘルパーの声かけの仕方をとり入れてみる
  • デイサービスなどを利用して、夫婦が離れる時間を作る

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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