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認知症の父がデイを拒否 1人で過ごす時間が長く心配【お悩み相談室】

窓の外を眺めるひと、Getty Images
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訪問介護管理者の滝口恭子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.一緒に暮らす父が認知症になり、私は日中仕事なのでデイサービスに行ってもらおうと思いましたが、本人は行きたくないと言っていて、確かに社交的な性格ではないので諦めました。そこで訪問介護を検討していますが、依頼できるのは1時間程度なのでそれ以外の時間を1人で過ごさせるのが心配です(50歳・女性)

A.お父さんが長時間1人でいることを考えると心配で、仕事にも集中できないですよね。デイサービスに行ってもらえると安心ですが、よほど社交的でなければ、新しいサービスを利用するのは、嫌なものだと思います。特に認知症の人は、デイサービスを拒否することがよくあります。相手の話していることが理解できないことも多く、不安を抱えている中で、さらに新しい場に行くというのは恐怖を感じるのではないでしょうか。デイサービスの場合、迎えの車がきても乗車拒否をしてしまうと、ほかの利用者の送迎もありますから、多くの場合その日は利用できないということになります。目的を理解できないまま、知らない人がいきなり迎えに来るというのも怖いですよね。お父さんの状況だと、確かにデイサービスの利用は難しいかもしれません。

認知症の場合、足腰がしっかりしていると要介護度は低いケースも多いので、訪問介護サービスを利用できる時間は短くなります。初期であれば、短時間の訪問介護を利用して日中1人で過ごすこともできると思いますが、1人での外出が心配ですよね。近所の人やいつも行くスーパーの店員などに声をかけて、地域で見守る態勢が必要だと思います。私自身も事業所がある地域では、一人暮らしが心配な高齢者がいる家をある程度把握しているので、前を通ったときには声をかけるようにしています。

お父さんにおすすめの介護保険サービスが、小規模多機能型居宅介護です。日帰りで通う「通所」を中心に、状況に応じて「宿泊」「訪問」のサービスも受けられるサービスで、デイサービスに比べて臨機応変に対応してもらえるのが利点です。家庭的な環境の小規模な施設なので、例えば乗車拒否があった場合には、「1時間後にまた来ますね」といった対応をしてもらえますし、最初は入浴だけなど、短時間通所することも可能です。通所、宿泊、訪問、どのサービスを利用したとしてもスタッフは同じなので、最初は訪問サービスだけを利用して、関係性ができてから、タイミングをみて施設に誘ってもらうといった対応をしてもらうこともできます。宿泊サービスも利用できるので、今後のことを考えても安心です。ケアマネジャーに、地域で利用できる小規模多機能型居宅介護がないかどうか、相談してみるといいでしょう。

小規模多機能型居宅介護とは 対象者や利用料、メリット、デメリットまで

認知症が進行すると、訪問介護を利用するだけでは、難しくなってくる時期が来ると思います。今のうちに、お父さんが安心して通える場を見つけておけるといいですね。

【まとめ】認知症の父がデイサービスに行きたがらず、日中1人で過ごさせるのが心配なときには?

  • 初期であれば訪問介護の利用だけで、日中1人で過ごせる可能性もある。その場合、近所の人に声をかけるなど、見守りの態勢を整えておく
  • 通所、訪問、宿泊のサービスがある小規模多機能型居宅介護を利用する

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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