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「ヘルパー来るから掃除しろ」と言う夫 そこまでするべき?【お悩み相談室】

杖をつく男性を背後から支える女性、Getty Images
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訪問介護管理者の滝口恭子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.夫(79歳)はまひがあり、週に3回訪問介護を利用しています。ホームヘルパーに来てもらう日は「ヘルパーさんが来るからきれいにしろ」とうるさく、きれいに掃除するようにしていますが、疲れてしまい、こんなことなら私が介護するほうが楽なのではないかと思っています(76歳・女性)

A.ご主人はとても気遣いをされる方なのですね。確かに訪問介護の利用者の中には、私たちが行く前にきれいに掃除してくれたり、私たちの作業を手伝おうとしてくれたりするご家族がいらっしゃいます。そんなときは、「私たちが来るからといって掃除されてしまうと、逆に来づらくなってしまいます。掃除は全く必要ないですよ」「私たちが来ている間は横になって休んでください」とお伝えします。

介護保険制度は、利用者を支援するだけではなく、家族の負担軽減という目的もあります。ヘルパーが訪問している間は、家族が休める時間です。現状では相談者の負担が増してしまっている状態なので、訪問介護の本来の目的を夫に理解してもらうことが必要です。

ただし、相談者から夫に説明しても聞き入れてもらえないかもしれないので、信頼関係があればホームヘルパーから話してもらってもいいですし、ケアマネジャーやサービス提供責任者(訪問介護サービスの責任者)から話してもらう方法もあります。他人に気を遣う方なので、第三者からの言葉は受け入れてくれるのではないでしょうか。

訪問介護は、食事や入浴、排せつなどの支援といった「身体介護」と掃除、調理、洗濯、買い物などの「生活援助」があります。ご主人にはまひがあるとのことなので、おそらく身体介護のサービスを利用しているのでしょう。相談者にゆっくり休んでもらうためには、掃除などの生活援助も受けられるといいのですが、同居家族が家事をできる状況にある場合は、サービスを受けられません。身体介護のサービスは、同居者の有無にかかわらず受けられます。

同居者である相談者自身も要支援・要介護認定を受けている場合や精神的・身体的に介護疲れが目立つ場合には、生活支援のサービスを受けられる場合もあります。疲れていて家事をするのがしんどいという場合は、ケアマネジャーに相談してみるといいと思います。

まひがある夫との生活は、大変なことも多いと思います。使えるサービスはできるだけ利用して、少しでも負担を軽減できるといいですね。

【まとめ】ホームヘルパーが来る前は「部屋をきれいにしろ」と夫がうるさく言う場合には?

  • 事前に掃除をする必要はないことをホームヘルパーやケアマネジャー、サービス提供責任者から夫に説明してもらう
  • 訪問介護を利用する目的の1つは、家族の負担軽減であることを夫に理解してもらう

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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