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一人暮らしの母が水分をとりたがらない 熱中症が心配【お悩み相談室】

コップを持つひと、Getty Images
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訪問介護管理者の滝口恭子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.83歳の母は一人暮らしをしています。ほとんどのことは1人でできるのですが、唯一気になるのが水分補給の習慣がないことで、昨年は熱中症になりました。一人暮らしなのでどの程度水分をとっているか確認もできず、心配です(52歳・女性)

A.非常に多いお悩みだと思います。昨夏も暑かったので、実際に訪問介護の利用者の方が熱中症になっていて、救急搬送されたといったケースもありました。熱中症は特に高齢者の場合、命に関わるケースもあるということをお母さんにも理解してもらえるといいですね。

同居していれば、水分をとっているかどうかチェックできますが、一人暮らしだと確かに心配です。しかし、ここ数年は見守りカメラが普及し、価格的にも3000円くらいからと比較的手に届きやすくなっているので、遠距離でもお母さんの水分摂取の状況をこまめにチェックすることができます。音声通信もできるタイプだと、様子を見ながら「水分をとってね」と声がけすることも可能です。暑い日は、同時に冷房をつけているかどうかを確認することも大事です。

遠距離介護をされている方は、水分補給に関してさまざまな工夫をされています。娘の声で「お茶を飲んでね」と録音し、それを定期的に親の家で流しているという方もいました。また、一人暮らしの親に朝、水筒に1日分の飲み物を入れてもらい、夜までにそれを飲み切っているかどうかをビデオ通話で一緒にチェックしているという方もいます。高齢者自身もどれだけ水分をとったかが確認できるので、1日で全部飲み切るということを目標にしやすいようです。

地域でお母さんの体調を把握してくれる人を、できるだけ増やしておくことも大事です。お母さんは介護予防の取り組みの1つである「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象になるかもしれません。この場合、生活支援サービスや介護予防サービスを受けられるので、対象になるかどうか、地域包括支援センターに相談してみるといいでしょう。サービスを利用することでお母さんの体調を把握してくれる人が周りに増えると、熱中症予防にもつながります。水分補給の大切さを第三者から話してもらうというのも効果的です。

高齢者が熱中症になりやすいのは、体温調節がうまくできなくなったり、のどの渇きを感じにくくなったりすることが原因です。さらに高齢者は、水分をとりたがらないという傾向もあります。理由としては、「トイレが近くなるのがイヤ」というケースが多いようです。身体機能が低下していると、トイレまで移動することや用を足すために服を脱いだり着たりすることが、大変で面倒に感じることもあります。また、トイレに間に合わなくて失敗してしまった経験がある人も少なくありません。こうした場合は、尿漏れパッドを使用するのも1つの方法です。抵抗がある人も多いですが、私が利用者にすすめるときには「口に出さないだけで、実はみなさん使っていますよ」とお伝えします。

本格的に暑くなる前に、できる限りの対策をしておけるといいですね。

【まとめ】一人暮らしの母に水分補給の習慣がなく、熱中症が心配なときには?

  • 見守りカメラなどを設置し、遠距離でも水分摂取の状況を確認できるようにする
  • 地域でお母さんの体調を把握してくれる人を増やすために、地域包括支援センターで相談する
  • トイレの失敗を嫌がって水分を控えているなら、尿パッドや紙オムツを利用する

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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