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義母の腕にあざ 「娘にやられた」まさか義姉が虐待?【お悩み相談室】

拒否するひと、Getty Images
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地域包括支援センターに勤務する中村亘さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の義母(81歳)は義姉と2人で暮らしています。義姉は日中働いているので、義母のデイサービスがない日は私が様子を見に行くのですが、最近義母の腕にあざが目立つようになり、本人に聞いたところ「娘にやられた」と言いました。義姉が虐待しているのでしょうか(48歳・女性)

A.義母の人権を守るためにも、早急に事実を確認する必要があります。事実を確認するのは、相談者ではなく、行政の仕事です。相談者はまず、市区町村の高齢者虐待に関する通報・相談窓口、もしくは地域包括支援センターに連絡してください。社会福祉士など虐待対応の専門職チームが自宅を訪問したり、関係者から話を聞いたりして、事実かどうかを判断し、事実であれば状況に合わせてさまざまな対策を講じます。ここはプロに任せてほしいと思います。

家族としては「大ごとにしたくない」「家族の中で解決したい」と思うかもしれません。しかし虐待はエスカレートしていくものですし、最悪の場合では「介護殺人」へと至ることもあります。ひとごとに感じるかもしれませんが、虐待というのは最終的にそこまでいく可能性があるものであり、それを防ぐためにも早期発見をして他者が介入していくことが大事だということを理解してもらいたいと思います。
守秘義務があり、通報者を義姉や義母に知らせるようなことはないので、その点は安心してください。

もう1点、家族としてできることがあるとすれば、義姉に「最近大変なことはない?」「手伝えることはある?」というように、義母を一緒にサポートする立場で声がけをすると、義姉のほうから、何か打ち明けてくれることもあるかもしれません。義姉を問い詰めるようなことをしても、反発されて、義姉がより孤立するだけだと思います。

義母は認知症と診断されているので、話していることが事実ではない可能性もあります。認知症の代表的な症状に、大事なものを盗まれたと思い込む「もの盗られ妄想」がありますが、特徴として介護をしてもらっている人など最も身近な人を犯人だと疑う傾向があります。義母の場合も、もの盗られ妄想のような思い込みがあるかもしれません。そもそも高齢になるとあざができやすくなる傾向があるので、義姉が故意ではなくぶつかってしまい、あざができたということも考えられます。

義母の思い込みだったとしても、そこには義母の不安感やストレスなど何かしらの精神的な問題がある可能性もあります。通報を機に地域包括支援センターなどと継続してつながることができれば、義母にとっても義姉にとっても現状の問題解決につながるのではないでしょうか。

行政に連絡するのは、勇気のいることでためらいがあると思います。しかし義母や義姉はほかの人には話せずに、その結果相手を傷つけたり悩み苦しんだりしているかもしれません。2人を守るためにも、一歩踏み出してもらえるとありがたいです。

【まとめ】最近認知症の義母の腕にあざが目立ち、本人が「娘にやられた」と言うときには?

  • 虐待はエスカレートするので、早期発見や第三者の介入が大事だということを理解する
  • 市区町村の高齢者虐待に関する通報・相談窓口、もしくは地域包括支援センターに連絡し、事実を確認してもらう
  • 義姉を問い詰めるようなことはせず、可能であれば「最近大変なことはない?」「手伝えることはある?」といった声がけをする

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