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80代の母が戸締まりをしません 宅配も多く強盗が心配です【お悩み相談室】

インターホンを押す配達員、Getty Images

地域包括支援センターに勤務する中村亘さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

 Q.80代の母が一人暮らしなのですが、いろいろな宅配サービスを利用していて人の出入りが多いうえに、戸締まりをしっかりする習慣がありません。強盗などの犯罪に巻き込まれるのではないかと心配です(56歳・女性)

A.お母さんの世代では、確かに戸締りの習慣がない方も珍しくないかもしれませんね。近所付き合いが密であった昭和の生活習慣が残っている可能性も、一つの理由として考えられます。今も近所の人が自宅に自由に出入りできるような環境にお母さんがいるのであれば、戸締りをするということはその関係を断ち切るように感じて、さみしいのかもしれません。

とはいえ、家族としては心配ですよね。「戸締まりをしっかりしてほしい」ということはすでに伝えているとは思いますが、「犯罪に巻き込まれるよ」と脅すような言い方ではなく、お母さんの気持ちに理解を示しつつ、本当に心配しているという思いを伝えられるといいですね。自分のことを心配して言ってくれている家族からの言葉は、お母さんにも響くと思います。

頭では理解していても生活習慣をすぐに変えるのは、難しいこともあります。こうした場合は、なじみのある宅配サービスの人や近所の人に協力してもらうのはいかがでしょうか。配達してもらった際に、「鍵閉めてくださいね」と声をかけてもらうようにして、本当に閉めたかどうかを確認してもらうところまでをお願いできるといいですね。

少し大掛かりになってしまいますが、玄関ドアをオートロックにリフォームするという方法もあります。玄関ドアを開けてから一定時間が経つと、自動で施錠されるため、締め忘れの心配がありません。ただし、オートロックにすることでカギの形状が従来のシリンダーキーではなく、カードキーやリモコンキーになるなど、慣れるまでに時間がかかってしまったり不安を感じたりして別の問題が出てくる可能性があります。導入する際は、お母さんともよく話し合ってから決めてほしいと思います。

一人暮らしの高齢者の安全を守るために、各自治体ではさまざまな取り組みをしています。
体調が悪くなった際などにボタン操作することで救急信号を送れたり、一定期間動きがなかったりすると、自宅に設置した機器を通じて警備会社に通報がいくシステムなどを導入している自治体もあります。

お母さんが住んでいる地域でも、こうした施策がないかどうか、地域包括支援センターなどに聞いてみるといいと思います。年齢や家族状況、収入など、条件によって助成や費用の減額が受けられるサービスもあります。高齢者世帯に向けた支援やサービスを上手に活用して、お母さんが安全に暮らせる環境を整えられるといいですね。

【まとめ】80代で一人暮らしの母に戸締まりの習慣がなく、心配なときには?

  • お母さんの気持ちに理解を示しつつ、家族として心配な気持ちを伝える
  • なじみの宅配サービスの人や近所の人に協力を依頼する
  • 玄関ドアをオートロックにしたり、自治体の支援やサービスを利用したりして、安全な環境を整える

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