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25歳介護職 利用者に嫌われ、ビクビクする毎日です【お悩み相談室】

放置された車椅子、Getty Images
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社会福祉士の熊谷恵津子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.数カ月前から老人ホームで介護職員として働いているのですが、担当している認知症の利用者さんに嫌われてしまい、私の介助に対して怒られることがあります。暴力や暴言があるわけではないのですが、毎日顔を合わせるだけでビクビクしてしまいます(25歳・男性)

A.私も施設の職員として勤務していたことがあるので、よくわかります。介護現場で働いたことがある人は、みな似たような経験をしていると思います。まず理解してほしいのは、認知症の人は環境の変化が苦手だということです。新しく入ってきた職員の存在というのは、認知症の人にとっては環境の変化の一つです。嫌われるのは当然、くらいに思っておいたほうがいいかもしれません。

とはいえ、怖い顔をされたらおびえてしまうし、ひどいことを言われたらいやな気持ちになりますよね。こうしたことはチームで対応していくことだと思うので、先輩や上司に相談、共有することが大事です。

同じくらいの時期に入った介護職員は嫌われていない、勤務を開始してからある程度時間が経つのに嫌われているということであれば、やはり何かしらの理由があるのでしょう。認知症の人の行動・心理症状(BPSD)の特徴、生活習慣、行動パターンなどをチームで情報共有しながら、理由を探ってほしいと思います。例えば、メガネをかけているから表情を読み取れなくて不安になる、体が大きいから前に立たれると威圧感があって怖いなど、認知症ではない人からするとささいなことが原因である場合も多いのです。

介護職員だけではなく、家族や主治医なども利用者を支えるチームの一員ですから、協力してもらうことも大事です。家族には利用者の現状をわかってもらうのと同時に、理由についてストレートに相談してもいいと思うのです。

逃げ出したくなると思いますが、私の経験では利用者としっかり向き合えば、これまでの苦労が報われたと感じる瞬間がきっと訪れます。介助の際に必ず抵抗されていたのにスムーズにいくようになったり、ニコッと笑顔を向けてくれたり、「ありがとう」の一言をもらえたり。1人で抱え込まずに悩みも喜びも分散して、チームで対応していくということを心がけてほしいと思います。

【まとめ】数カ月前から老人ホームに勤務。担当の利用者に嫌われたときには?

  • 認知症の人は新しい職員が苦手である場合が多いということを理解する
  • ほかの介護職員、利用者の家族、主治医などチームで情報を共有し、解決策を考える
  • 嫌われている理由がある可能性も高いので、認知症の人のBPSDの特徴、生活習慣、行動パターンなどからチームで理由を探っていく

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