いいと思えるモノ、工夫で重宝するモノで生活に「快適」を
タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。今回は、こだわりのお買い物をすると「快適」が貯金できる? そんなお話です。
最近コレ買いました
「きゃあーー! かわいい〜っ!」
朝、母をデイサービスに送り出す時、母の靴を見た職員さんが歓声を上げました。
この日おろしたばかりの靴は、ライトグレーに大ぶりの花のコサージュをあしらったもの。お花の部分は色も素材も微妙に違う3枚の布を重ねていて、中心部はギャザーを取り、立体的に作られています。甘過ぎない上品なかわいらしさに、私が一目惚れしました。
私は買物に時間がかかるタイプです。自分のメガネを買った時も、買おうと思い立ってからあちこち回って、気に入るものが見つかるまでに半年くらいかかりました。
この靴も、一目惚れに至るまで半年ほどかかっています。
それまで履いていた靴がボロボロになってきたのが夏頃。それから「かわいい靴ないかな〜」とゆるく探し始めたものの、地味なものが多いケアシューズ。なかなかコレというものに出合わず、誕生日プレゼントにと思っていたのに誕生日はとうに過ぎ、年をまたぎ、ボロボロ度合いも加速し、あちこちが禿げ、反射素材の生地もその役割を果たせるか怪しいほど剥けてきて、マジックテープも留まらなくなってきました。
デイの職員さんからは「むしろ愛着が湧いてきた」とか「もはや愛おしい」と言わしめるほどだったのですが、安全にも関わってくるので、見た目に拘っている場合ではないと観念しかけたその時! 定期的にパトロールしている介護用品コーナーで、陳列棚に鎮座していたこの靴に出合ったのです。
しかし、母は足の幅が広く、むくみもあります。
以前、ネットで買ったものは、横幅に合わせてサイズを選んだら踵が余ってしまいました。これを踏まえて後日、母とお店に行って試着してみたのですが、今度は幅が窮屈でパンパン。足の甲が盛り上がっています。
ここでは幅が広いタイプの取り扱いがなく、お取り寄せもできないと言われてしまいました。が、過去にそのメーカーの別の靴を購入したことがあり、その時は幅広サイズがありました。諦めきれずメーカーに問い合わせると、「その靴は自社の靴にコサージュを付けて他社が販売しているので幅広タイプもそちらで購入できます」と教えていただき、遂に買えるところまでたどり着きました。
ここまできたら執念です。半年の思いが乗っています。
今回は以前の失敗を教訓に、慎重に、足幅、足囲、足長をメジャーで測り、幅広の7Eを選択し、注文しました。届いた靴に足を入れるとピッタリ。まさにシンデレラシューズ!
もう1カ所、別のデイサービスの、新卒の女性職員さんも、靴を見た途端に「かわいいっ!!」と叫び、利用者さんからも声をかけられ、みんなに囲まれていたそうです。褒めてもらえて、靴を脱ぎ履きする度に気持ちも上がると聞くと、私も嬉しく、粘り強く探した甲斐がありました。
他に最近買ったものというと、100円ショップで購入したペディキュア用セパレーター。足の爪にマニキュアなどを塗る際に、指の間に挟んで指同士が付かないようにするグッズです。これを足ではなく、手に使います。
病気の進行に伴い、母は、手をギュッと握り込んで硬くなってしまうという症状が出てきました。五本の指の間を開ける専用クッションも発売されていますが、試しにこちらを購入して手にはめてみると、なかなかいい感じ。理学療法士（PT）さんや鍼の先生からも高評価。ただ、長時間の着用はセパレーターの跡が指についてうっ血してしまうので、定期的な付け外しが必要です。
同じく100円ショップで購入した、床に敷くジョイントマットも重宝しています。これはトイレの壁に貼って使っています。母がトイレに行く際、手すりを持って壁に向かって立つのですが、狭いトイレで私が介助するときに壁に膝が当たって、時々青あざができていたのです。膝が当たる部分にマットを貼り付けてみると、少しは衝撃を吸収出来ているようで青あざも減ったように思います。両面テープがくっつかなかったため見た目の改良は必要ですが、些細なこともアップデートしてこれからも快適貯金を増やします!
