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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

食いしん坊バンザイ みつけた!嚥下障害でも「おいしい」を楽しむ方法

駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。今回は、母親が嚥下障害であることがわかり、どうにか食べる術はないかと必死で調べていたころに知った、食事介助についてのお話です。

奥深い! 食事介助の世界

「あんたは食べることだけは忘れへんから大丈夫やわ」。私の食いしん坊ぶりに呆れて、母はよく言っていました。私は食べることが大好きです。だからこそ、母が食べられなくなってきた時の悲しみは深く、どうにか食べられる術はないものかと必死に調べたのかもしれません。

介護食は作っていたものの、もう一段の工夫が必要と行き詰まりを感じていた頃に知ったのが、食事介助の工夫でした。調理の工夫とはまた違ったアプローチ。すぐにセミナーを申し込み、座学と実践の約七時間の講座を受講すると、食事介助の腕次第でかなり良くなると確信。大きな希望が生まれました。

何度か通ったセミナーの資料。セミナーを受けるのに買わねばならない参考書。講義はノートを取りながら聞いていたので、大学時代を思い出しました
何度か通ったセミナーの資料や参考書。講義はノートを取りながら聞いていたので大学時代を思い出しました

まず、飲み込むという行為を分解して考えること自体、私にとっては発見でした。自然に行っている一連の動作ですが、細かくみていくと、食べ物を認識し、口に入れ、噛み砕き、咀嚼によって分泌された唾液でコーティングするようにひと塊にまとめ、飲み込みやすい形状になった食べ物の塊を、舌を使って喉へと送り込み、ゴックンして、食道、そして胃へと流していきます。わずかな時間で実は複雑なことをしているのです。「飲み込めない」という問題も、どの段階に支障があるのかを判断し、それでも何ができるかを見極め、改善するアプローチをしながら食事介助をすれば、食べられる可能性はグッと上がるという理論でした。

例えば、最初の「認識」に問題がある認知症の方には、何を食べるのかわかってもらうため、その方の目線に食べ物を持っていきながら声かけをし、匂いを嗅いでもらうなど五感を刺激して認識を促します。
「口に入れる」という動作ができない方には介助者が助けますが、スプーンを口へ入れようとすると、咄嗟に手を払いのけられる場合があります。これはスプーンの差し出し方に問題がありました。突然目の前に細長い物体が現れ、自分に向かって進んでくれば、反射的に払ってしまうのも当然です。ペン先が自分に向かって進んでくるだけでもちょっと怖いですよね。そうならないように、スプーンを鼻より下の低い位置から挿入するだけで拒否反応が改善する場合も。正面からではなく、斜め下45度の角度付近からが原則です。
口の中に運んだら、スプーンの位置は舌の中央、あるいはやや奥。軽く圧をかけるようにのせると、舌の知覚が刺激されて舌の動きが良くなり、送り込み運動が促進されるのだとか。
口からスプーンを引き抜く際は、顎が上がらないように注意しないと、首が後ろに倒れて食べ物が気管に入りやすくなります。
スプーン操作だけで、何と奥深いことでしょう!

母の場合は、「噛む」段階に大きな問題がありました。左側の上下の奥歯が部分入れ歯と義歯だったのですが、グラつきが出てきたので、思い切って取り外すことになったのです。噛みづらくなるので温存したかったのですが、突然外れて誤って飲み込むリスクを考えると仕方のない判断でした。案の定、飲み込みは悪くなりました。左奥で噛む長年の癖が抜けず、舌の真ん中に食べ物を置いても、左に寄ってしまうのです。舌の動きが弱くなっているため、一旦左に寄った食べ物はなかなか右奥に運べず、左側に滞留しました。

以前使っていたもの(左上)と、変えたもの(左下)。カーブが薄いのが横から見るとわかります
以前使っていたもの(左上)と、変えたもの(左下)。カーブが薄いのが横から見るとわかります

そこで、口に入れる際、少し右寄りに入れ、且つスプーンで舌に圧をかけることで舌の動きをアシスト。すると、効率よく噛めて食べるスピードがアップしました。飲み込めない原因を洗い出し、どうすれば改善するか工夫した結果です。他にも、口が大きく開かないので、スプーンのカーブが薄いものに変えたり、細かく改善しました。

出来ないことが増えるとガッカリします。でも、まだこれは出来るという残存能力に着目すれば、意外と何とかなるものです。それを見つけられるか。感じられるか。
よーく観察してみてください。「のびしろ」。案外あるものですよ。

認定食事サポーターバッヂ
講義を受講し、認定食事サポーターバッジをいただきました

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