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今日は晴天、ぼけ日和

終わらないコロナ禍 疲れきった介護職員をケアする「主任」の心の声とは

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

マスクをするひと

さあ、帰ろう。
介護スタッフの僕の
今日の勤務は終わった。

なのに、体が動かない。
明日もあるんだぞ。

明日、明後日、しあさって。
いつまでこんな日々が、続く?

マスクをするふたり

コロナ禍が来てから、
様変わりした日々にも、もう慣れた。

エッセンシャルワーカーなんて、
呼ばれた時もあったっけ。
やめていった仲間の顔が、よぎる。

「お疲れさま」

ふと、主任に声をかけられた。

外を眺めるふたり

やり場のない気持ち。 

やって当たり前と、
顔のない世の中に言われているような、
むなしさ。 

それでも、主任が見てくれている。
だから、僕は明日も。

——この主任さん(リーダー)は、どんな気持ちで
スタッフさんに声をかけたのでしょうか?

とある高齢者施設で主任を務める、
私のごく親しい人がこんなふうに言っていました。

「コロナ禍でたまった疲労が今、
 スタッフに顕著に表れるようになってきた。

 微力だろうが人命を思いやって、
 介護職は感染の恐怖と戦いながら職務をまっとうしてきた。

 けれど結局、給与や職員不足の改善はなされなかった。

 介護職員は、どこにもそのはけ口がない。
 だからせめてスタッフの話を聞こうとも思うが、
 自分が責められるのではないかと、
 声をかけることさえ本当は怖い」

そんな主任から聞いた本音に、返す言葉がありませんでした。

現場であらゆる業務に携わり、
ご利用者・スタッフはもちろん、
ケアマネジャーや介護者家族とのやりとりも
一手に引き受ける、主任という役割。

まさに激務です。
志がないとできたものではありません。

私も介護職員として高齢者施設に勤務していた時、
どれだけ主任に助けられたかわかりません。

今でも各現場で働く介護職員さんたちから、
「あの主任がいるから、続けられる」と
よく伺います。

終わったかなと思ったら、
再び感染者数が増加しているこのコロナ禍。

いまだにそれぞれの持ち場で奮闘し続ける、
介護職の方々がいます。

そして、それを励ます主任の方々の
ご苦労を思わずにはいられません。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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