中学生の娘が義父を介護 感謝していますが将来が心配【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護支援専門員の須原智子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.義父(81歳)が隣の市で一人暮らしをしています。最近持病が悪化したのですが、夫は単身赴任、私も働いているので、中学生の娘が放課後に家事や身の回りの世話に行ってくれています。娘が自ら言い出したことではありますが、大事な時間を奪っているようで心配です(50歳・女性)
A.相談者の娘さんのように、18歳未満で家族の介護や身の回りの世話を担う子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれ、最近注目されています。問題となるのは、家族のケアをすることで、本人の日常生活に影響が出ることです。中学生であれば、放課後は部活をしたり、友人と遊んだりして過ごすことが多いのではないでしょうか。成長に必要な時間であり、この時期にしかできないことだと思います。義父の家に通うことでそれができていない状況であれば、相談者が心配している通り、娘さんの生活が犠牲になっているかもしれません。
自ら言い出して義父の世話をしていることをほめつつ、「自分の生活を犠牲にする必要はないんだよ」ということを伝えてほしいと思います。
ヤングケアラーの支援に関しては、全国の児童相談所が相談窓口になっているほか、当事者や元当事者の交流会、家族会などがあります。ただし、国をあげてのサポートは、十分には進んでいないのが現状で「仕方ない」ですまされてしまうことが多いようです。
相談者のケースでは、介護保険サービスを利用して対策できるので、「仕方ない」ですませてほしくないと思います。
義父の世話に関しては、まず要介護認定を受け、介護保険サービスを使って、ホームヘルパーを利用したり、デイサービスに通ったりするのはいかがでしょうか。サービスを利用して義父が1人でも生活を送れる態勢を整えたうえで、娘さんの気が向いたときに家を訪ねるくらいがいいと思います。祖父を思う娘さんの気持ちも大事にできますし、祖父の世話を義務化しないことが大切です。
娘さんには、ぜひ今しかできないことをやってほしいですね。
【まとめ】世話をするために隣の市に住む義父の家に通う中学生の娘。大事な時間を奪っているようで心配なときには?
- すでに娘の生活が犠牲になっていると理解する
- 介護保険サービスを利用して、義父が1人で生活できる態勢を整える
- 娘には気が向いたときだけ義父の家に行ってもらう