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うまく歩けない母 でも父が介護保険を使いたがりません【お悩み相談室】

歩行器を使って歩くひと、Getty Images

介護支援専門員の須原智子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.父と2人暮らしの母(78歳)は腰が悪く、歩行は杖や歩行器が必要で、長く立っていられません。要介護認定を受けられる状態だと思うのですが、父は拒否していてホームヘルパーなどを利用するつもりはないそうです。この先2人でやっていけるのでしょうか(50歳・男性)

A.お父さんのように、介護保険サービスの利用を拒否される方は、実は少なくありません。「ヘルパーが来ると家のものがなくなる」といった不正確でネガティブなうわさを耳にしたことがあったり、デイサービスの送迎車が家の前に止まっているのを近所の人に見られたくないと思っていたり……、理由はさまざまです。

確かに他人を自宅に入れたくないという気持ちは、理解できます。まずはなぜお父さんは、お母さんが要介護認定を受けるのを拒否するのか、理由を聞いてあげてください。内容によっては不安を解消したり、誤解を解いたりすることで、気持ちが変わるかもしれません。

例えばホームヘルパーを信用できないということであれば、ホームヘルパーは資格を持つ介護の専門職であること、しっかりした事業所は、管理が行き届いていることなどを伝えられるといいですね。

ただし、一番大切なのは介護を受けるお母さん自身の気持ちです。もしかしたらお父さんはお母さんの気持ちを代弁しているだけかもしれません。このため、お母さん自身がどう思っているのかということも聞いてほしいと思います。

おそらく現状は、歩行器や杖を使ったり、イスに座りながら料理をしたりして、2人だけの生活でもそれほど困っていないのでしょう。すぐにでもサービスを利用する必要がなければ、お母さんの気持ち次第で、このまま様子を見るのも1つの方法です。とりあえず、要介護度の判定を受け、お母さんの現在の状態を把握してもらう方法もあります。

もしかしたら、この先2人での生活が難しくなってきたときには、相談者をはじめとした家族に面倒を見てもらいたいという思いもあるかもしれません。今のうちに家族ではどこまでは面倒を見られて、どこからは無理なのか、伝えておくといいでしょう。そのうえで、サービスが必要になることを徐々に説明していけるといいと思います。

お父さんやお母さんの気持ちに寄り添いながら、家族でよく話し合い、この先も2人が安心して暮らせるような環境を整えられるといいですね。

【まとめ】腰が悪い母と2人暮らしの父。介護保険の利用を拒否するときには?

  • お父さんが拒否する理由を聞いて、不安や誤解があれば、説明して解消する
  • 介護保険の利用に関して、お母さんの思いを確認する
  • 家族としてどこまでは面倒を見られて、どこからは見られないのかを伝えておく

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