楽しいイベントでも、認知症の脳には強烈な疲労感 休憩の場が必要です
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![花束を受け取るひと](http://p.potaufeu.asahi.com/3775-p/picture/27116786/1c8fffe301adb7f20bdcae136acb2639.jpg)
今日は友達が、私の誕生会を開いてくれた。
認知症があって、
気分がふさぎがちな私を
思いやってくれる優しい人たち。
温かな涙がこぼれた。
——こんなに幸せな気持ちだったのに。
![赤信号の前に立つひと](http://p.potaufeu.asahi.com/d96f-p/picture/27116789/c3212190e7d3117aae62907d926c2649.jpg)
興奮は、私から集中力をうばった。
普段なら忘れもしない、
「赤信号=止まれ」の意味が、ぼやける。
興奮が残る体は、むやみに
道路に飛び出そうとする。
全身が、なにかに乗っ取られたよう。
![ソファに座るひと](http://p.potaufeu.asahi.com/7220-p/picture/27116790/78883c004d1082e87ae2f6f1a9010e03.jpg)
こんな時は、家路につく前に
ひとりクールダウン。
「大丈夫だよ、ゆっくりで」
みんなの優しさが詰まった、
花束のささやきに守られながら。
認知症があると、疲れやすいというのは、
最近よく知られてきた情報です。
ただ、その疲労は、
後でゆっくり休んでもらえばいい、
という類いのものではありません。
その時々のご本人の判断力や行動さえも左右しかねない、
強烈な疲労です。
ときにそれは、
心身に危険をおよぼしかねないのですから、
周りは配慮が必要です。
気心の知れた友人知人とのおしゃべり、
素敵な音楽、楽しい催し。
たとえ、ご本人に明るい影響があるものでも、
脳に負荷がかかることには違いありません。
だからこそ、クールダウンや休憩が
当事者さんの心身に不可欠ということは、
周りが十分に心得ておく必要があります。
気安い仲であるほど、
「疲れたな」と言いづらい当事者さんもいるかもしれません。
そして周りや社会に
当事者さんのご苦労の理解が広がるほど、
町にクールダウンスペースをつくることや、
優先席の必要性がより高まっていくことでしょう。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)