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今後の生活費が心配 専業主婦60代で熟年離婚の1人暮らし【お悩み相談室】

働くひと、Getty Images
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介護支援専門員の須原智子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.ずっと専業主婦でしたが、60代で離婚し、年金分割とわずかなパート収入でぎりぎりの生活です。いつまでパートを続けられるのか、今後介護が必要になったら施設に入る費用はどうするのかなど、お金の不安におそわれます(70歳・女性)

A.とても不安ですよね。ただお金に関してはさまざまな支援の制度があります。こうした制度を知っておくだけでも漠然とした不安は軽減されると思います。

まずは、パートを続けられなくなったときのことが心配ですよね。年金分割の収入だけで生活していくのは難しいかもしれません。そうした場合は、生活保護制度を利用できます。年金収入があると生活保護を受けられないのではないかと誤解されることがありますが、年金収入の金額が、国が定める保護基準(最低生活費)を満たしていなければ、生活保護を受けられます。保護基準の金額から、年金収入の額を引いた分が支給されます。

次に介護が必要になったときの施設入居についてですが、生活保護を受けていても入居できる施設はあります。介護保険を利用して入居できる公的施設「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護医療院」であれば、生活保護を受けている人や住民税非課税世帯の人は「介護保険負担限度額認定証」の対象となります。この認定証があると、食費や居住費の自己負担額が軽減され、生活保護の支給範囲内で利用できます。

ほかにも地域密着型の施設サービス「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」や「特定施設(サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームのうち自治体から指定された施設)の場合、施設によっては生活保護を受けている人でも入居できます。

たとえ介護が必要になっても、状態によっては施設に入居せずに通所介護(デイサービス)や訪問介護などを利用しながら自宅で生活することはできます。ケアプランにもよりますが、一般的に施設に入居するよりも費用は抑えられると思います。

現在はパート収入があり、生活できていたとしても、できれば地域包括支援センターに行って、お金に対する不安な気持ちを話せるといいですね。制度などについて説明してもらえると思いますが、話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

【まとめ】離婚して年金分割とパート収入だけの生活。お金の不安があるときには?

  • 年金収入があっても最低生活費を満たしていなければ、生活保護制度を受けられることを知っておく
  • 介護が必要になったときには、「介護保険負担限度額認定証」で自己負担額が軽減される制度があることを知っておく
  • 地域包括支援センターで、今抱えているお金の不安について相談する

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