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母が認知症に 私は仕事で多忙 息子に介護を頼みたい【お悩み相談室】

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介護支援専門員の須原智子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.大学生の息子がいるシングルマザーです。同居している母(78歳)が初期の認知症と診断されました。私は仕事で毎日帰りが遅いので、この先介護が必要になると、息子にも手伝ってもらうことになりそうです。息子にどう頼めばいいのか悩んでいます(51歳・女性)

A.お母さんが認知症と診断されたばかりで、不安を感じていることと思います。まずは認知症がどのように進行し、今後どのような介護が必要になっていくのかということを具体的に知ることが大切です。認知症はアルツハイマー病、脳血管障害、レビー小体病など、原因となる病気によって、進行の仕方や適した対応が変わってきます。現段階で初期の認知症と診断されただけであれば、お母さんの原因疾患を調べてもらうことも大事です。

息子には、お母さんの認知症について説明したうえで、協力してほしい旨をストレートに伝えてはいかがでしょうか。長く3人で暮らしてきたとしたら、息子自身「祖母にお世話してもらった」という思いがあるでしょう。「大事なおばあちゃんのために、一緒にがんばってくれる?」といった感じで話すといいのではないでしょうか?

とはいえ、相談者も息子も無理しないですむように、臨機応変に介護保険サービスを利用してほしいと思います。相談者には仕事が、息子には大学があるわけですから、自分たちの生活を犠牲にしない範囲で、お母さんをサポートできるといいですね。

「介護を手伝う」というと、大変なイメージをもたれがちなので、息子もためらうかもしれません。けれども、デイサービスの送り出しや迎え入れ、食後に服用する薬を準備するといったことだけでも、相談者は助かりますよね。具体的にどういうことを手伝ってほしいのかを伝えておくと、介護に対する息子の精神的な負担は軽くなるのではないでしょうか。

今一番不安を抱えているのは、お母さんかもしれません。まだ70代で若く、認知症も初期なので自分でできることはたくさんあるはずです。今後のことを考えるのも重要なことですが、お母さんがこれ以上不安を抱えなくていいように、相談者と息子とで寄り添うことも、今の段階では大事なことだと思います。

【まとめ】母が初期の認知症になり、この先大学生の息子にも介護を手伝ってほしいときには?

  • お母さんの認知症がどのように進行して、今後どのような介護が必要になるのかを理解し、息子にも伝える
  • 「大事なおばあちゃんのために一緒にがんばってほしい」とストレートに伝える
  • 自分や息子の生活を犠牲にしないように、臨機応変に介護保険サービスを利用する

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