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今日は晴天、ぼけ日和

「介護職は誰でもできる」知らない人ほど安易に言う 真の役割を知って

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

相手の頬に手をあてる人

介護の仕事をしていると、
この人を支えられたと
思える瞬間がある。

そんな時は、
「この仕事を選んでよかった」と
心から思う。

心を傷つけられる人

介護の仕事をしていると、
人の思いに押し潰されそうな
時がある。 

そんな時は、
「これも仕事だ」と
何度も自分に言い聞かせる。

風呂掃除する人

いっそ辞めたら、
この感情の揺れからも、
重労働からも解放される。 

それでも踏みとどまれるのは、
「少しでも、人生を支えたい」
そんな願いがあるから。

「誰でもできる仕事だから、
 介護職は賃金が安いんだよ」

そんな物言いを耳にするたび、
実際を知らない人の言うことは
なんて危険なんだろう、と思います。 

なぜなら
「介護スタッフはただ、重労働をしている」
というイメージを、
世間に固定してしまうからです。 

多くの人は、
家族やご自身に介護が必要になってから、
介護を専門とする人々に出会います。
 
その時、初めて介護スタッフが
ただ役に立つ存在ではなく、
人生そのものを支えてくれる
伴走者であることを知ります。 

介護スタッフが、
ベッドから車いすへ、車いすから便座へという風に乗り移らせる「移乗」や、
着替えを支援する「更衣」などの介護技術を備えていることは知られているでしょうが、 
「人の最期をどう支えるか」
という心のサポートまで、
その多くが学んでいることまでは、
知られていないのではないでしょうか。
 
だからこそ、介護スタッフは優しく見える。 

それは、人としての優しさに加えて
専門職としての自負をもって
その役割をまっとうしているからです。 

それなのに「誰でもできる」という
世間のイメージがあるかぎり、
介護職の真の役割は、浸透しづらいでしょう。

大変な仕事だからではなく、
私たち自身の人生に
価値を与えてくれる仕事だからこそ、
それに見合う正当な評価を、と願います。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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