何日も同じ献立が並ぶことも 支え合う母と娘の認認介護
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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母、90歳手前。
私、70歳手前。
2人そろって、認知症。
数日間、同じ献立が並ぶ日も。
こんな繰り返しの日々、
一体どこまで続くのか?
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母の日課は、いわゆる「脳トレ」。
効果があるのかは、わからない。
でも、その心意気が母を元気にしている。
そして、そんな母を見て、
私も元気になる。
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先を見ると、不安しかない。
でも、今、今、今。
この風景を、一緒に味わって。
認知症のある人が、
認知症がある家族を介護する。
それは私の場合、身近によくある状況でした。
老老介護ならぬ、
認認介護と呼ばれることもあります。
症状が軽い方が介護する側になる、といった場合が多かったですが、
支えあって暮らされているご家族も、ありました。
もちろん、個人差はありますが、
昔からのなじみの店や、
変わらない住居、
訪問介護ヘルパーなどのサポートがあれば、
認知症になっても、
それなりに暮らしていけるのだな、と
思ったものです。
なかにはご近所さんが、
訪問介護ヘルパーがくる日や、
ごみの収集日に声をかけに来てくれる。
そんなご家庭もありました。
小さな手のひとつひとつが
実は暮らしの命綱になっていたのです。
先を思うと、足もとがゆらぐような
認認介護の日々。
そんな不安も、
今を支えあうことで、
未来につなげていけるのかもしれません。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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