「できない」というのは先入観 当事者は工夫を重ね、日常を生きていく
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
認知症になったら、なにもできなくなる。
この誤解が世間一般に
広く浸透していて、驚く。
認知症当事者の私は、
愛想笑いもうまくなった。
終わりなわけがない。
私は不安になったり、
困ったりしながらも、
ひとり地道な工夫を重ねて、
今日も暮らしている。
誰かにサポートを
お願いすることもあるけど、
仕事も、家事もする。
どこまでも続く、
騒がしい日常を生きている。
「○○さん、メールができるの? びっくり!」
以前、認知症当事者さんに、
ある女性がかけた言葉に、
私はカチンときました。
なんで、できないのが当たり前と
思ったんだろうと。
けれど、私だって身近に、
当事者さんがいる生活をしてこなければ、
同じように思ったかもしれません。
それぐらい、私たちの身近には
「認知症になったら、終わり」
そんな、ネガティブで極端な情報があふれています。
誤解とは怖いもので、
「あの人は認知症になったから、もう仕事をやめてもらおう」
などと、人を切り捨ててしまうことさえあります。
だからこそ、
体をはって、当事者さんたちが
素顔のまま、声をあげています。
どんなに勇気がいることでしょうか。
誰にとっても生きやすい、
未来のためです。
認知症を知り、
理解しようとすることは、必ず
私たちの明日に返ってきます。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》