認知症になって変化した音の聞こえ方 ソワソワしてしまう僕に必要なこと
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![「・・・」パチン パチン](http://p.potaufeu.asahi.com/c041-p/picture/26776458/a6cfbab09e6ab52df99c26b990820fc3.jpg)
僕の心と体は、
小さなきっかけで
ソワソワしてしまう。
認知症になってから、
「あること」が変わったから。
![しゅるる ドドド カチッ PiPiPi チャリーン「昨日、公園で……」「そっちだよ!」ひそひそひそ](http://p.potaufeu.asahi.com/a4f2-p/picture/26776455/60ae06e7864fd9129016d46cd852354e.jpg)
それは、聞こえ方。
遠くの会話、小さな物音、
BGMの変調、空調の低い響き……
全部が混じりあうように、
でもある時は、突然それぞれが独立して
耳に飛び込んでくるようになったんだ。
![「疲れたから、にぎやかな商店街を通りたくないな。ごめんね」「じゃあ、遠回りだけど静かな裏道を行こうか?」](http://p.potaufeu.asahi.com/b56b-p/picture/26776457/599cefb0ad769f4003339bbbd4483f1f.jpg)
音を拾いすぎてしまう、僕の耳。
いつも「疲れた」という言葉でまとめてしまう、
説明不足の僕に
あなたの声はいつだって、心地いい。
認知症によって、体や心に起こる変化は、人それぞれです。
だからこそ、当事者さんは
特別なそれを言葉にしづらく、
周囲から適切なサポートが受けづらい、
という困難があります。
例えば「音が聞きづらい」という
症状の中身もさまざまで、
当事者さんが自分に合った、
安心できる環境を得られるまでが長いのです。
なんて孤独な道のりなのでしょうか。
だからせめて周囲は、常に
当事者さんの体や心に起こっていることが、
「自分たちにはわからない」
という自覚が必要だと思うのです。
わからないと、相手を探ります。
しつこいかな、と迷いながら、
口にしようとした言葉をひっこめたり、
いやいやLINEにしよう、と文章でやり取りしてみたりと、
一筋縄ではいきません。
でも、それでいいのではないでしょうか。
当事者さんも迷う。
傍らの私たちも迷う。
一緒に揺れながら、
心地よさを見つけることが、
自然なプロセスだと思うのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)