今日は晴天、ぼけ日和

認知症になって変化した音の聞こえ方 ソワソワしてしまう僕に必要なこと

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

「・・・」パチン パチン

僕の心と体は、
小さなきっかけで
ソワソワしてしまう。

認知症になってから、
「あること」が変わったから。

しゅるる ドドド カチッ PiPiPi チャリーン「昨日、公園で……」「そっちだよ!」ひそひそひそ

それは、聞こえ方。

遠くの会話、小さな物音、
BGMの変調、空調の低い響き……

全部が混じりあうように、
でもある時は、突然それぞれが独立して
耳に飛び込んでくるようになったんだ。

「疲れたから、にぎやかな商店街を通りたくないな。ごめんね」「じゃあ、遠回りだけど静かな裏道を行こうか?」

音を拾いすぎてしまう、僕の耳。 

いつも「疲れた」という言葉でまとめてしまう、
説明不足の僕に 

あなたの声はいつだって、心地いい。

認知症によって、体や心に起こる変化は、人それぞれです。

だからこそ、当事者さんは
特別なそれを言葉にしづらく、
周囲から適切なサポートが受けづらい、
という困難があります。

例えば「音が聞きづらい」という
症状の中身もさまざまで、
当事者さんが自分に合った、
安心できる環境を得られるまでが長いのです。

なんて孤独な道のりなのでしょうか。

だからせめて周囲は、常に
当事者さんの体や心に起こっていることが、
「自分たちにはわからない」
という自覚が必要だと思うのです。

わからないと、相手を探ります。

しつこいかな、と迷いながら、
口にしようとした言葉をひっこめたり、
いやいやLINEにしよう、と文章でやり取りしてみたりと、
一筋縄ではいきません。

でも、それでいいのではないでしょうか。

当事者さんも迷う。
傍らの私たちも迷う。

一緒に揺れながら、
心地よさを見つけることが、
自然なプロセスだと思うのです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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