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ケアマネが頼りにならない 調べればわかる情報ばかり【お悩み相談室】

パソコンで検索するひと、Getty Images
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介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.父(78歳)が認知症で介護保険サービスを利用することになり、自宅近くの事業所に所属するケアマネジャーに決めました。父に合いそうなデイサービスを探しているのですが、ケアマネジャーが教えてくれる情報は自分でも調べられるような基本的なことばかり。そんなものでしょうか(47歳・男性)

A.さまざまな特徴をもつデイサービスがある中で、本人や家族だけで目的や希望に合った施設を探し出すのは、難しいものです。だからこそ、ケアマネジャー(介護支援専門員)から情報を聞き出したいですよね。確かにケアマネジャーは事業所の情報を利用者に提供することが役割でもありますが、「介護保険法」では「公正・中立的な立場で業務を行うこと」が定められています。つまり、そのよしあしを伝えるような偏ったマネジメントはできないことになっています。

こうしたことから、提供する情報が相談者が思う「父に合うサービス」についての情報とずれているのかもしれないですね。

担当のケアマネジャーは、専門的にお父さんの心身の状態や認知症の症状、日頃の生活のこだわりなどに合ったデイサービスを提案しているのではないかと思います。それがもしかしたら、家族や本人の希望とは違っているということも考えられます。まずは相談者とお父さんの希望をケアマネジャーにしっかり伝えることが大切です。

私が働く施設では、利用の相談に来られた方の話を23時間は聞くようにしています。何に困っているのか、を聞きながら認知症の症状と以前の姿や暮らしの背景を聞いていくと、互いに気づきや思いを共有することができます。最初に十分に聞いておくことで、その後のコミュニケーションがスムーズにいくのです。

ケアマネジャーは介護度に合わせたサービスの量を提案することも求められますが、利用者や家族の希望をよく聞き出して、それに合わせたサービスを提案することが大事だと思っています。

もしケアマネジャーと合わないということであれば、事業所に相談して、担当を変更してもらうのも方法です。専門職といっても、ベテランから新人までいますし、経歴もさまざまです。ケアマネジャーになるには、看護師、介護福祉士、作業療法士、理学療法士などの資格や実務経験、もしくは介護老人福祉施設の生活相談員など、相談援助業務の経験などが必要です。こうした経歴によって紹介するサービスに違いが出ることもあるかもしれません。

デイサービス選びだけではなく、今後もサービス形態やケアの内容について、ケアプランを変更するなど、やりとりは続いていきます。今のうちにケアマネジャーとの信頼関係がつくれるといいですね。

【まとめ】父のデイサービス選びに関して、ケアマネジャーからの情報に物足りなさを感じるときには

  • ケアマネジャーは公正な情報を提供する義務があること、お父さんの心身の状態などに合わせたサービスを最優先に考えて提案していることを理解する
  • デイサービスに関する希望をケアマネジャーにしっかり伝える
  • ケアマネジャーと信頼関係が築けなければ、事業所に相談して、担当を変更してもらう

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