認知症とともにあるウェブメディア

今日は晴天、ぼけ日和

スマホは認知症の私の味方 決心の火を消さず 今日もひとりで外へ出る

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

「行ってきます!」

今日も私は、
ひとりで出かける。

不安が消えない私を見送りながら、夫は言う。
「なにかあったら、僕に電話してね。行ってらっしゃい!」

町の中にいる人

認知症がある私は時々、
いつもの町が、知らない風景に見えたりする。 

あれ、どこに行くんだっけ? 

そんな時はスマホを握りしめ、
子どものように泣きたくなる。 

町を歩く人

でも、大丈夫。
私は助けを求める方法を知っている。

今日も私は、私の道を行く。

認知症があっても、
ひとりで外出している方は、
もちろんいらっしゃいます。 

外出中の困難の表れ方は、
お店の位置関係が混乱したり、
左右がわからなくなったりと、
人によってさまざまです。 

お話を伺うと、その方々は必ずと言っていいほど、
迷った時の対処法を持っていました。 

「迷ったら、すぐタクシーよ」
「難しい時は、人にわかる所までついてきてもらうんだ」
「なにかあったら、家族に電話するから」 

迷っても、行く。 

その決心の火を、
周りの私たちは、簡単に水をかけて消してはいけません。 

けれど私は私自身の不安から、
「ひとりでの外出は危ないから、やめて」と
ある人の火を消したこともあります。 

認知症は目に見えませんし、
高齢でも若くても発症します。 

「なにか、お困りですか?」 

町や駅で困っている人がいたら、
相手の年齢に関わらず、
勇気を出して、そう声をかけてみる。 

きっとそれが、どなたかの火を
一緒に大きく灯すはずです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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