嫁に嫌われ息子と絶縁 年金も介護も期待できない老後【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.5年前に夫を亡くし、一人暮らしです。息子がいますが嫁に嫌われてしまい、息子家族とは絶縁状態なので、この先認知症などになって介護が必要になったとしても面倒を見てもらうのは期待できません。年金も少なく不安です。どんな備えが必要ですか(75歳・女性)
A.今は元気でも、一人暮らしということで、不安は大きいと思います。今のうちにぜひ取り組んでいただきたいのが、地域の人たちとつながることです。引っ越しなどが多いと、地域になじめていないということもあるかもしれません。知らない人が集まる場に行くのは勇気がいることですが、ぜひ地域の人が交流する場に足を運んでほしいと思います。
地域の高齢者が集える場として、全国的に「コミュニティーカフェ」や「認知症カフェ」などのシニアサロンが開催されています。地域住民が主体となって運営し、地域によって異なりますが、公民館や集会所などで開催されることが多いようです。参加者同士で気軽に会話を楽しむほか、認知症予防のためのアクティビティなども実施されています。
また、特別養護老人ホームなどの介護施設でも地域住民を対象としたサロンや認知症に関する勉強会などを開催しています。実際に介護が必要になった際のサービスについての情報なども得られるので、安心につながるのではないかと思います。
こうした地域の人が集まる場については、地域包括支援センターなどで相談すれば、教えてくれるはずです。一覧表や開催マップなどを作成している地域もあるので、ぜひ活用しましょう。
よく耳にするのは、サロン活動の場で、認知症が発見されたというケースです。例えばルールがあるゲームをするときに、以前はできていたのにうまくできなくなるなどして、ほかの参加者が「おかしい」と感じるようなことがあるようです。相談者は75歳でまだ若いので、誰かの助けになったり、誰かの異変に気づけたりすることもあるかもしれません。お互いに支え合える関係を築けるといいですね。
息子家族とのことは、事情があるでしょうから関係を修復するのは難しいのかもしれません。ただ、「この年齢になって不安を感じているから、何かあったときは連絡させてね」というように、今の素直な気持ちだけでも伝えておいてはいかがでしょうか。息子も父親が亡くなり、母親が一人暮らしであることはわかっているはずなので、気になってはいると思うのです。
地域の集まりに足を運んでみる、そして一方的でもいいので息子に思いを伝えておくことが、不安を少しでも軽くするきっかけになると思います。
【まとめ】息子家族と絶縁状態。一人暮らしでこれからのことが不安なときには?
- 地域の高齢者が集まるサロンに参加し、地域でのつながりをつくる
- 息子に不安な気持ちを素直に伝えておく
※認知症カフェはこちらから検索いただけます