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独り身の友人から「後見人になって」の依頼 荷が重い【お悩み相談室】

おしゃべりをするふたり、Getty Images
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社会福祉士の川島豊輝さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.長年親しくしている友人(69歳)から後見人になってほしいと頼まれました。友人は身寄りがなく、最近物忘れが多くなっていて、心配になってきたようです。正直荷が重く、悩んでいます(62歳・女性)

A.認知症などになって判断能力が低下したときに活用できる制度の一つに「成年後見制度」があります。後見人となった人は、財産管理のほか、介護サービスの契約や施設への入所契約など、本人が適切な環境で生活できるようにする役割を担います。成年後見制度のうち、任意後見制度であれば、あらかじめ自分で後見人を決めておくことができます。友人は、将来に備えて後見人を自分で選んでおきたいと考えているのですね。確かに口約束だけで通帳を預かるなど財産の管理をするよりも、制度に基づいて本人を支えるほうが、トラブルは防げると思います。

ただ、荷が重いというお気持ちもよくわかります。まずは友人と一緒に社会福祉協議会や地域包括支援センターで、任意後見制度の手続きや後見人の役割について詳しく話を聞いてみるのはいかがでしょうか。断るにしても、一緒に話を聞いたうえで「やはり荷が重いわ」と断るほうが、独自に調べて断るよりも2人の関係が悪くなりにくいと思うのです。

社会福祉協議会では「日常生活自立支援事業」といって、成年後見制度を利用するほど判断能力が低下していない人に向けた生活支援の事業を実施しています。条件に当てはまれば、利用することができるので、物忘れが多くなっている友人も、いったん、安心することができるかもしれません。

友人はなぜ、相談者に後見人を頼もうとしているのでしょうか。「なぜ私なのか」ということを確認できるといいですね。相談者のことを信頼しているのは間違いないと思いますし、後見人になることで、2人の絆はより深まると思います。人は誰かの役に立ったり、必要とされたりすることで、生きる意味や幸福を感じられるものです。後見人になれば事務的な負担は増えるかもしれませんが、相談者の幸福度は上がるのではないでしょうか。

もちろん無理するのはよくないので、相談者の家族や身近な人とも相談して答えを出せるといいですね。

【まとめ】友人から後見人になってほしいと頼まれた。荷が重く、悩むときには?

  • 成年後見制度について、友人と一緒に社会福祉協議会や地域包括支援センターなどで詳しく話を聞く
  • 友人になぜ後見人が「私なのか」ということを確認する

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