「生き返るよねぇ」元気の熱源に集まる町の社交場 銭湯文化よ永遠に
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
もうもうと湯気の立つ、熱い湯に
手足をぐーんと伸ばして
首までたっぷりつかる気持ちよさ。
それこそ、銭湯の魅力。
でもそれだけじゃない。
裸の付き合い。
マスク越しでも、心は近い。
「足が痛いけど、来ちゃったわ」
「お互い、がんばろうね」
「おやすみなさい、また明日」
この町のご長寿の
元気の熱源は……
ここ、銭湯にあり。
私は毎日銭湯を利用していますが、
高齢のお客さんが多数をしめています。
今も昔も変わらず銭湯は、町の社交場。
清潔や健康保持のためだけに
皆さまが通っていないのは、
のれんをくぐれば一目瞭然です。
いたわりあい、
声をかけあい。
コロナ禍で外出が少なくなった
高齢の方々にとって銭湯は、
元気の源でもあるのです。
また先日のこと。
認知症のある知人が、
多種多様な湯船がある、銭湯へ行きました。
けれど
「設備の多さや、道順の複雑さに混乱してしまった」
とのこと。
古き良き銭湯の、単純明快な使いやすさも
高齢者をはじめ、多くの方にとって
やさしいつくりなんだな、と気づかされました。
昨今では、銭湯文化を未来に残すために、
町の銭湯を福祉や医療とつなげて
新たな居場所づくりをされている方々もいらっしゃいます。
湯を沸かし続ける方々の、
心意気とご尽力がそこにはあります。
愛すべき町の銭湯よ、
未来永劫(えいごう)いつまでも。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》