長年続いた年賀状のやり取り 途絶えた友が心配です【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
社会福祉士の川島豊輝さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.地方に住む学生時代からの友人(71歳)と毎年年賀状のやりとりをしていますが、今年は届かなかったので心配になって電話をしたところ、話を合わせてはいましたが、私のことをわかっていないような気がして、様子が変でした。友人は数年前に妻を亡くして一人暮らしなので心配です(71歳・男性)
A.友人関係だと心配ではあっても、どこまで関わればいいのか、難しいところですね。まずできることとしては、こまめに電話していただくことかと思います。高齢になってくると相手の声が明瞭に聞こえないなど、声の主を判別する聴覚機能が低下しやすくなります。“オレオレ詐欺”で高齢者が被害にあってしまう理由の一つも、聴覚機能が低下していることで相手の声を聞き分けられなかったということがあるようですね。
このように、高齢の方にとって電話でのコミュニケーションは難しいところがあります。相手の負担になってしまうので、無理に思い出させようとはしないほうがいいと思います。こまめに電話をして学生時代の話をしたり、世間話をしたりしているうちに、自然と相談者のことを認識できるかもしれません。妻に先立たれているとのことなので、妻との思い出話を聞くのもいいと思います。
電話でのコミュニケーションが難しければ、手紙を送ってみてはいかがでしょうか。気にかけているということを伝えられるといいと思います。
高齢の一人暮らしということであれば、すでに何かしらの支援が入っている可能性もあります。できれば、友人が地域で孤立していないかということを確認してほしいと思います。医療機関にかかっているのか、地域の活動に参加しているのか、出歩いているのかといったことを会話の中から聞き出せるといいですね。
何回か電話や手紙でやりとりしてもやはり様子がおかしく、さらに地域で孤立していて、自らSOSを発信できていないようなら、心配ですね。友人が住む地域の地域包括支援センターなど公的な機関に、情報提供という形で友人の状況を知らせてもいいかもしれません。地域によって対応は異なりますが、友人の家に様子を見に行ってくれる場合もあります。
友人関係の場合、深入りしすぎるとトラブルのもとになる可能性もあります。状況がわからないので心配だとは思いますが、電話をこまめにかけてくれる存在の人がいるというだけでも、友人にとっては支えになるのではないでしょうか。
【まとめ】年賀状が途絶えた一人暮らしの友人。電話の様子もおかしく、心配なときには?
- 高齢になると声の主を判別する聴覚機能が低下しやすいものだと理解したうえで、こまめに電話をして学生時代の話や世間話などをする
- 電話でのコミュニケーションが難しければ、手紙を書く
- 何回か電話や手紙でやりとりをしても様子がおかしく、地域で孤立しているようなら、地域包括支援センターに情報提供する