介護保険のリハビリが物足りない 追加するなら自腹?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
作業療法士の松本剛史さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.夫(64歳)は若年性の脳血管性認知症で、歩行が不自由です。1人で歩けることを目標に介護保険サービスの訪問リハビリを利用しているのですが、時間が短く、物足りないようです。追加するには自費でサービスを受けるしかないでしょうか(65歳・女性)
A.「時間が短い」「物足りない」と感じるほどに、熱心にリハビリに取り組んでおられて、その頑張りに頭が下がります。
訪問リハビリは、外出時に介助を要するといった状態で、主治医が必要だと判断した場合に利用できるサービスです。もし訪問リハビリの利用を開始したときよりも、身体機能が向上し、外出する際の介助の必要量が下がっているのであれば、次のステップとしてデイケアやデイサービスへの移行を検討してはいかがでしょうか? 施設によっては、訪問リハビリと同程度のリハビリ時間を提供しているところもありますし、外出する・移動するといった点で活動量や運動量は訪問リハビリよりも増えるかもしれません。作業療法士や理学療法士が常駐して、リハビリに力を入れている施設は多くありますので、ケアマネジャーに相談してみてください。
一方で、訪問リハビリを開始したときよりも歩行が不安定になるなど、身体機能が低下している場合は、要介護認定の介護度を変更したほうがいいかもしれません。申請が必要になりますが、介護度が上がると支給限度額が上がり、訪問リハビリを利用できる回数が増えることもあります。
身体機能が低下しているわけではないけれどリハビリの時間を追加したい、かといって通所サービスは利用したくないという場合は、自費でのサービスも選択肢になるかもしれません。現在の訪問リハビリの担当者にそのまま自費で訪問してもらえるかどうかは、訪問リハビリを運営している施設によって異なります。
ただし、自費となるとどうしても費用が高額になります。介護保険により自己負担1割でサービスを受けている場合、自費となると10倍の費用がかかることになります。このため、まずは、通所サービスや介護度の変更を検討するなど、支給限度額の範囲内でサービスを利用することをおすすめします。
【まとめ】訪問リハビリを利用している脳血管性認知症の夫。リハビリの時間が短く物足りないときには?
- 運動量や活動量が増えやすいため、デイサービスやデイケアへの移行を検討する
- 身体機能が低下しているのであれば、介護度変更の申請を検討する。介護度が上がれば、支給限度額も上がって、訪問リハビリの回数を増やせることがある
- 訪問リハビリの回数を増やしたいが、身体機能が低下しているわけではない場合は、自費のサービスを受けるという選択肢もある