認知症とともにあるウェブメディア

お悩み相談室

認知症の父が浴室で転倒 でも介助を嫌がり、心配です【お悩み相談室】

浴室

作業療法士の松本剛史さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

 Q.認知症の父(83歳)と同居していますが、入浴の際に浴室で転んでしまったことがあり、介助したいのですが、家族の誰に対しても介助を拒否します。仕方なく1人で入らせていますが、また転んで骨折でもしないか心配です(55歳・男性)

A.入浴は特にプライバシーが尊重されるべき行為であり、お父さんが介助を拒否するのは当然のことだと思います。また、転倒するリスクがあること、身体機能が低下していることを認知症の症状により自身で認識できていない可能性もあります。だとしたら「自分は介助を必要としていないのに、なぜ無理やり関わってくるのか」といった思いが、怒りやいら立ちとなって、拒否する気持ちを増長させてしまうかもしれません。

そこで、お父さんのこれまでの入浴方法を尊重しながら、できる限り安全な環境を整えてはいかがでしょうか。例えば浴室や浴槽の近くに手すりを取り付ける、固定できて、座面が高く立ち上がりやすいシャワーチェアを購入する、万が一転倒してもケガを防げるクッションシートを敷くといったことが考えられると思います。こうした福祉用具は、介護保険の給付を受けられることがあるので、ケアマネジャーに相談するといいでしょう。

また、お父さんの入浴中は、浴室の外から「湯加減はどうですか?」など、自然な声がけをして、こまめに安全を確認することは必要だと思います。

さらに利用している介護保険サービスに、作業療法士や理学療法士がいるようであれば、お父さんの身体機能をチェックしてもらい、安全な入浴動作ができているかどうかを評価(判断)してもらうといいでしょう。必要であれば、作業療法士などに指導してもらい、入浴動作ができるようになるための機能訓練をすることが大事です。入浴時を想定して、一つひとつの動作に対して訓練をしておけば、転倒などを防げるはずです。

入浴は毎日のことなので、心配ですよね。お父さんの気持ちを尊重しつつ、安全に入浴できるといいですね。

【まとめ】入浴の介助を拒否する父。転倒が心配なときには? 

  • 1人で入浴しても安全な環境を整える
  • 浴室の外から声がけをして、こまめに安全を確認する
  • 必要であれば作業療法士や理学療法士に、入浴時の動作を想定した機能訓練をしてもらう

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア