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今日は晴天、ぼけ日和

介護は家族の集大成 でも、優しくなれない そんな自分を責めないで

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

荷物を抱えて座る人

もう、親に何年会っていないだろう。
そろそろ、介護が必要な年齢だ。
電話くらい、と思うのに日ばかりが過ぎていく。

背中を合わせる人たち

最後に親孝行を、と思うのに。
幼い頃の記憶に縛られ、いまだに動けない。

こんな自分に、介護なんてできるはずがない。

「苦しい・・・」

「苦しい」

生まれてはじめて、人にもらした。

たった一言、外に出すのに何十年かかったか。

これが私なりの、家族との一歩。

私は44歳です。
そのため、親が高齢となってきた同年代から
たまにこんな相談を受けます。

「親と仲が悪く、疎遠になっている。

でもそろそろ、介護の準備をしなければいけない。

どうすればいいのか」

不仲の原因は様々ですが、相談者の多くが
ご自身を責めるような思いでいらっしゃいました。

ただ介護は「そろそろ」ではなく突然やってきます。
準備して「さぁ、始まるぞ」というものではなく、

ある日、不意に骨折したり、
進んだ認知症が発覚したりして、
それまでの暮らしがままならなくなり、
急きょ介護に突入することが多いのです。

それでもいつか来るかもしれない、その時。

仲たがいしている家族が、
少しでも穏やかな心でいるために、
どんな準備ができるでしょうか。

例えば、

抱えてきたお気持ちを、
ほんの少しでも
整理してゆくこと。

それこそ、ご自身にしかできない
今できる介護の準備ではないか、
と私は思っています。

介護は家族が必ず担うものではないし、
家族に優しくなれない、介護ができない、
と思うご自身を責める必要は、
全くありません。

介護は家族の思いの集大成です。
それぞれに事情がある。

そこに、世間一般の「介護はこうすべき」
を持ち込むことは、
苦しむひとりにとって助けにはなりません。

まずはご自身の心身を、一番に。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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