認知症になったの そう話してくれた友達が私にしてほしいと願ったこと
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
友からの告白に
言葉を失った。
私に何ができるだろう?
彼女のためになりそうなものを探した。
せめてなにか、渡したい。
だって
医師でも家族でもない私に
できることといったら、
きっとそれくらい。
久しぶりに会った彼女は、
なにもいらないわ、と笑った。
「変わらず、友達でいてほしい」
それこそが、彼女の願い。
「認知症になった」
もし、友達や同僚に
そう打ち明けられたら、
あなたはどうしますか?
親しい人が苦しんでいる時、
私たちはつい、
何かをしてあげたくなるものです。
以前、認知症と診断された方から
こんな話を聞きました。
「友人に打ち明けたら、認知症予防のプリントを持ってこられたり、一緒に勉強会に行かないかと誘われたりした。
申し訳ないけれど、ストレスだった」
認知症の診断がなされると、
医師や福祉職の方々から
新たな生活へのサポートを提案されることがほとんどです。
気の置けない友人にまで、
同じような対応をされたら、
息が詰まってしまいます。
じゃあ私たちに何ができるのか。
それはご本人と、
今までと変わらない付き合いを続けることだと、私は思います。
認知症になると、
御本人の心情にも人間関係にも
めまぐるしい変化が起こりがちです。
その変化のなかで
変わらない関係を続けようとしてくれる人の存在は、
どんなに心強いでしょうか。
特別になにかをしようとしなくとも。
そのままのあなたに、
かけがえのない価値があるのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》