認知症だと他人が打ち明けていい?まずは本人の思いを聞いてほしい
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
コソコソされた耳打ちに、
私は戸惑いを感じた。
私たちは
それぞれの「正しさ」で、
平行線のまま。
これは、ご本人に聞くしかない!
あなたの曖昧な返答に、
なにかがほどけてゆく。
正しさからは近づけない、
あなたの心に触れられたから。
最近、私自身が以前より
感覚よりも思考に偏っているな、と
感じることがあります。
外出の有無ひとつにしろ、
なにが正しいかで判断し、
行動するようになった
コロナ禍の影響でしょうか。
けれど、
正しいかどうか、
白か黒かで
答えを出そうとすればするほど、
他者理解から離れます。
人を理解する道すじは、
そんな単純な明確さの中には、
ないからです。
曖昧(あいまい)な好み、
まとまらない言葉、
幅のあるグレ-の感情。
個人からこぼれる、
そういったかけらこそ、
ご本人らしさを多分に内包しています。
人の曖昧さを受け入れられる、
やわらかな感受性であること。
周りから症状で判断されがちな、
認知症当事者の方の前では、
特に必要な態度だと私は思います。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》