わたしの居場所に許可は必要ですか? そこに居るのは命そのもの
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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私の存在に、
許可を出すのは、誰?
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人が居ることは、騒々しい。
動かなかろうが、生々しい。
居ることは、命そのものだから。
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私が居る。
あなたが居る。
隣り合う命のざわめきを。
A子さんが入所した、
有料老人ホームを訪ねた時のことです。
食堂で談笑していると、
スタッフさんがにこやかに、
声をかけてきました。
「A子さん、そこに居ていいからね」
何げない一言でしょう。
A子さんもぼんやりと聞いていましたし、
他施設でもよく聞く声かけです。
相手を安心させてあげたい、という、
配慮の表れともとれます。
それでも、私はこの言葉が嫌いです。
当たり前の生活のなか、
ただ居る自分に、
なぜ許可を出されなくてはいけないのか。
私は誰にも、私の存在に
「居ていい」なんて言われたくありません。
何げない言葉の積み重なりが、
お互いの関係性をつくっていくからこそ、
自戒として思うのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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