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頻尿で失禁も 寝室からトイレが遠くて間に合わない【お悩み相談室】

紙おむつを手にするひと

作業療法士の野村和代さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の母(76歳)は夜間に頻繁にトイレに行くのですが、トイレに向かう途中で失禁してしまうことがよくあります。自宅の間取り上、トイレの近くで寝ることはできず、どうすればいいでしょうか。(45歳・女性)

A.もしお母さんが利用することに抵抗がなければ、寝室にポータブルトイレ(持ち運び可能な簡易型トイレ)を設置するのはいかがでしょうか。夜間の寝室とトイレの往復は転倒が心配ですが、寝床のそばに置けるポータブルトイレなら、その心配もなくなります。

ポータブルトイレにはさまざまなタイプがあります。一般的なタイプの場合、便座の下にバケツが設置されていて、その中に排泄物が入ります。難点は排泄物を処理する必要があること。家族ができればいいですが、一人暮らしなどで処理が難しい場合はホームヘルパーに依頼するという方法もあります。

また、ポータブルトイレには、排泄物をポリ袋に自動で包んで密閉するタイプや微生物の力で排泄物を分解、処理できるタイプもあります。こうしたタイプだと、処理がラクになるほか、においを抑えることもできます。後始末が不要の水洗ポータブルトイレもあります。工事が必要にはなりますが、自室にトイレを増設するよりは費用を抑えられます。水洗タイプには工事が不要な簡易的なものもあり、この場合は便器に水が流れますが、その下の排泄物は処理が必要です。そのほか、木製のイス型で見た目はトイレのようには見えないタイプも。ふたをしめているときはイスとしても使用できます。

ポータブルトイレは肌が直接触れるものなので、レンタルはできませんが、「特定福祉用具」の一つとして、介護保険を利用して購入できます。

お母さんがポータブルトイレの使用に抵抗がある場合は、寝るときだけ紙パンツやパッドを使用するという方法もあります。

一つ気になるのが、「頻繁にトイレに行く」ということです。夜間頻尿は、背景に心疾患などの病気が隠れていることもあります。動悸(どうき)、息切れ、むくみ、だるさといった症状がある人は特に注意が必要です。一度主治医にも夜間頻尿について相談するといいでしょう。

【まとめ】夜間に頻繁にトイレに行く認知症の母が、トイレに向かう途中で失禁してしまうときには?

  • ポータブルトイレを寝室に設置する
  • 寝るときだけ紙パンツやパッドを使用する
  • 夜間頻尿は病気が隠れている可能性もあるので主治医に相談する

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