今日は晴天、ぼけ日和

「延命治療いらない」は元気だった頃の言葉 人の心はゆらゆら揺れる

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

景色を眺める二人

「もう充分に生きた。もしもの時は、命を延ばす治療をしないで、そのまま死にたい。」

あなたがまだ元気な頃、私はいつもそれを聞かされた。何度も、何度も。

ベッドの上にいる人

けれど、いよいよ体が弱ったあなたは、
「1日でも長く生きたい」と、自ら医療を求めた。

それは人間らしい、命への渇望。

点滴を受けながらベッドに横たわる人

人の心は、ゆらゆら揺れる。

どこにも正しい答えなんてない。

だからせめて最期の時を、
あなたと一緒に、ゆらゆらと。

私の祖父は「医療に頼らない、できる限りの自然な死」を長年望んでいました。

けれど、実際のその時。
うってかわって、人工栄養法などいわゆる延命治療を、自ら強く求めました。


とても人間的な心の動きではないでしょうか。


当時、祖父は私を「看護師さん」と呼ぶほど認知症が進んでいましたが、

認知症になったからこそ、体が弱ったからこそ、本心に気づけるようになった、という見方もできます。

健康、とされる時になされた判断が、その人にとって最期まで有効だなんて、
誰が決められるのでしょうか。

人の気持ちはコロコロ変わるから、こころというのだ、と聞いたことがあります。

その時々の相手の心の揺れに添うこと。

それが人生を締めくくる人へ最低限できる、敬意の表し方かもしれません。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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