トイレに行けないほど長丁場 交響曲だって今やターンテーブルで
アルツハイマー型認知症のタカオさん。スケッチされたその不思議な世界観を、間学(あいだ・がく)さんがコレクションしています。 日本のみならず、海外の人の注目も集めている作品の数々。タカオさんのガイドつきで紹介します。ようこそ、「タカオ美術館」へ。
- 作品名:MUSIC FROM FUTURE
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未来ってのは、何でもない普通の日常の中にこつぜんと現れたりするものなんだよ。ほら、便器を逆さまにして「泉」ってタイトルをつけた作品が美術館に展示されたり、コンサートが始まったらピアノのふたを4分33秒の間、閉めたりしてさ。驚いたことにその曲は第3楽章まであったらしくて、後で観客に聞いたら何楽章目だったか忘れたけど、通りを走る車のクラクションの美しいハーモニーまで聞こえたって。何ソレ大丈夫?ってのが、つまり次の時代を作ったり影響を与えたりして、そもそもの概念や制度自体を問い直すきっかけになってきたんじゃな。だからって訳じゃないけど、わしの「今」も何かの未来を表現しているんじゃないかな。だから時々思うんだよ、さてさて、わしの「何を」未来につなげようかってね。……えっ、そろそろトイレは大丈夫かって? 心配いらんよ。リハビリパンツと言う名のオムツをしとるからね。知っとるかい、クラシックの指揮者は結構コイツを利用しとるらしいんだ。なんせ長丁場だからね交響曲は。人生と同じで……。
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