若手とベテラン、正社員とパート。気が合わない私たちの密かなリスペクト
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![互いを横目で見る二人](http://p.potaufeu.asahi.com/ecf3-p/picture/26064800/256ca8e2718a4724cc9feb8c97bd1a17.jpg)
林さん(56)と、森さん(31)。
林さんはパートタイマー、
森さんは正社員として、
同じ高齢者施設で働いている。
ふたりは、気が合わない。
![『また、このタイミングで森さんだ』「立てますか」](http://p.potaufeu.asahi.com/d4d3-p/picture/26064803/9f330c65de7eb4ea5b08f7e8b25c3669.jpg)
でも、林さんは気付いていた。
林さんが関節痛をこらえながら、
高齢者を抱えようとする時、
いつも森さんが現れ、
介助をさりげなく代わってくれることを。
![「大丈夫ですよ」『林さんのあの安定感。私はまだまだ敵わないな』](http://p.potaufeu.asahi.com/4c5e-p/picture/26064799/8159f1b39ea76547ec3b3c07aec9fd25.jpg)
そして、森さんも気付いていた。
この施設には、
林さんの存在が必要なことを。
2人は、気が合わない。
でも、共にこの場をつくっている。
働き盛りの世代と、
体力の落ち始めた世代が、
同じ高齢者施設で、働く。
よくある状況ですが、私自身、
そこで生まれる摩擦を
多く体験してきました。
なぜ、摩擦が生まれるのか?
その理由のひとつに、
仕事内容の差が、挙げられます。
全ての方ではありませんが、
身体的な衰えから、
50代60代の方には難しくなる、
実務が出てきます。
それをカバーするのは、
大体において、若い世代なので、
そこに差が生まれるのです。
そこには双方に、割りきれない思いがあるでしょう。
そういう場に居合わせたとき、私の場合は、
林さん、森さんのような方々に、
助けられてきました。
「お互いさまだから」
全てを解決できなくとも、
誰かひとりのいたわりの姿勢から、
ほぐれていくものは、必ずあります。
そして、その職員間の空気は、
職員の心を安定させるだけにとどまらず、
高齢の方々の居心地にまで、影響してゆくのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)