手足まひの父がリハビリを嫌がる 寝たきりが心配【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護の次世代育成に取り組む坂本雅子さんが、介護・支援活動を生かして認知症の様々な悩みに答えます。
Q.同居している父(75歳)は脳血管性認知症です。手足のまひがあり、リハビリが必要なため、理学療法士さんが自宅に来てくれるのですが、リハビリをいやがります。せっかく訪問してくれる理学療法士さんに申し訳ないですし、このまま寝たきりになるのではないかと心配です。(48歳・女性)
A.お父さんはリハビリをがんばって、どんなふうになりたいと思っているのでしょうか。手足を自由に動かせるようになったら、どんなことをしたいのでしょうか。もし、お父さん自身がこうした目標を持てていなければ、まずは一緒に目指すゴールのイメージを思い描いてみてください。まひが少し軽くなったら何をしたいか、補助具を使って手足を動かせるようになったら何をしたいかと、段階ごとに目標を決めると、より意欲がわいて、1つずつクリアしやすいと思います。お父さんが目指しているイメージをご家族だけではなく、ぜひ理学療法士とも共有してください。
私が施設長を務める特別養護老人ホームで、車いすで入居された方がいました。入居の際にご家族が「歩けるようになったら自宅に戻って一緒に暮らそうね」と伝えると、ご本人はその言葉が本当にうれしかったようで、リハビリをすごくがんばったのです。ご家族は半年くらいで自宅に戻ってきてもらうイメージで準備を進めていたようなのですが、何と1カ月で杖がなくても歩けるようになったのです。意欲さえあれば、リハビリにも積極的に取り組めるようになるんですね。
もう1点、お父さんに確認しておきたいのがなぜリハビリをいやがるのかということです。例えばリハビリをすると体のどこかに痛みが出るのかもしれないですし、理学療法士の言葉をきつく感じるのかもしれません。理由によっては、対応できることもあるでしょう。理学療法士が自宅に来るとのことなので、訪問リハビリのサービスを受けていると思います。担当の理学療法士に原因があれば、ケアマネジャーや訪問リハビリの事業所に相談して、担当を交代してもらうこともできるかもしれません。
お父さんが目指すイメージやリハビリをいやがる理由については、すぐに確認できるものではないかもしれません。お父さんの趣味などから、何を目標にすれば意欲が出てくるのかご家族で考えてみたり、お父さんの様子を観察することでいやがる理由を探ってみたり、お父さんとじっくり向き合えるといいですね。
【まとめ】認知症の父がリハビリをいやがって、寝たきりになるのが心配なときには?
- リハビリをがんばってどうなりたいのか、何をしたいのか、お父さんにイメージしてもらい、リハビリへの意欲を高める。
- お父さんがリハビリをいやがる理由を確認して、可能であればその原因を取り除く