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認知症の母に、かわいがった弟の死を伝えても大丈夫ですか【お悩み相談室】

弟と遊ぶ女の子のイメージ

介護の次世代育成に取り組む坂本雅子さんが、介護・支援活動を生かして認知症の様々な悩みに答えます。

Q.母(78歳)が3年前に認知症と診断されました。先日母の弟が病気で他界したのですが、母には伝えるべきかどうか迷っています。母がかわいがっていた弟なので、亡くなったことを知ったらショックを受けてBPSDが悪化するのではないかと心配です。(50歳・女性)

A.お母さんのことをご心配されているお気持ち、よくわかります。私が施設長を務める特別養護老人ホームでも、入居者のご家族から「身内が亡くなったのだけれど、本人には内緒にしてほしい」と言われることがよくあります。そんなときはご家族に「私もついているので、一緒に伝えませんか?」とお話しします。

なぜなら私の経験では、たとえ内緒にしたとしても、結局は何らかの形で亡くなったことを知ってしまうことが多いからです。何となく気配で察知してしまう、という方もいます。かわいがっていた弟さんであれば、なおさら気づくのではないでしょうか。認知症の人でも感情はしっかりあります。後から知ったことで、余計に悲しむのではないかと思うのです。

それであれば、状況をみながらお母さんがショックを受けないように相談者が直接伝えるのがいいのではないでしょうか。認知症の人は古い記憶は残っていることが多いので、一緒に弟さんの思い出話をしながら、偲ぶことができます。避けたいのは、亡くなったことだけを伝えて、ショックを受けている様子を見て、すぐに話題をそらそうとすること。とことん思い出話につきあってあげてほしいと思います。

もちろん亡くなったことを聞いて、一時的に落ち込むかもしれません。それは誰にでもあることです。それがBPSD(行動・心理症状)を悪化させることには、つながらないと思います。

施設では入居者に対して、家族ではなくスタッフが身内の方の訃報(ふほう)を伝えなければならないことがあります。そうした場面での認知症の人の反応は、認知症ではない人と変わりません。「病気だったの?」と聞いてきたり、亡くなった状況を聞いてきたり。つまり、パニックに陥ったり、想定外に落ち込んだり、といったケースはほとんど経験がありません。

お母さんの様子をよく見ることは大事ですが、症状の悪化については、そこまで心配しなくても大丈夫だと思います。お母さんと一緒に弟さんをゆっくり偲ぶ時間をつくれるといいですね。

【まとめ】認知症の母がかわいがっていた弟の訃報を伝えるべきかどうか迷うときには?

  • 内緒にしても何らかの形で亡くなったことを知ることが多いので、状況を見て伝える
  • 弟の思い出話をしながら、家族で偲ぶ時間をつくる

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