薄着にサンダルで寒そうなおじいさん。家族に知らせる?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.近所に住む80代くらいの男性が、真冬なのに上着を着ずに素足にサンダルでウロウロしています。薄着なのも心配ですし、認知症だと思うので事故も怖いです。息子さん夫婦と同居されているのですが、日中は不在です。義娘さんとは顔見知りなので、様子を伝えたほうがいいでしょうか。(55歳・女性)
A.義娘さんと相談者がどの程度の関係性なのかによって、対応は変わってくると思います。顔見知りということなので、会ったときに挨拶をする程度でしょうか。その場合、直接伝えると、相手が気分を害してしまうかもしれません。今後も近所で暮らしていくことを考えると、直接伝えるのはお互いに難しい面があると思います。できれば地域包括支援センターなどで事情を説明し、相談員からこの高齢男性のご家族に話してもらうのがいいのではないでしょうか。
とはいっても地域包括支援センターにすべて任せるのではなく、地域に住む一員として、高齢の方を見守り、支えたいですよね。ウロウロしているのは、目的があって出かけたはずなのにそれが思い出せずにいたり、家に帰りたいのに道に迷ったりして困っているのかもしれません。「寒くないですか?」「何かお困りですか?」などと、声をかけてあげてください。
ご家族の方もこの男性の様子がおかしいことを何かしら気づいていて、不安や心配を抱えているかもしれません。地域で見守っているということをさりげなく伝えられるといいですね。男性を自宅の前まで送っていったときなどに、タイミングよくご家族に会えると、自然な流れで伝えられると思います。
義娘さんとお互いに家族の話をするなど、少し踏み込んだ関係であれば、男性の様子を直接伝えてもいいかもしれません。そして可能であれば、認知症サポーター養成講座や認知症予防プログラムなどに誘ってあげてください。ご家族がこうした講座に参加して認知症の知識を得ることで、具体的にどうやって男性をサポートしていけばいいのかがわかり、漠然とした不安がなくなるものです。
相談者の気づきが、この高齢男性を守り、ご家族の不安を解消することにつながるといいですね。
【まとめ】近所に住む高齢男性が真冬なのに素足にサンダルでウロウロしていて心配なときには?
- 男性の家族と挨拶を交わす程度の間柄なら、地域包括支援センターに相談する
- 男性の家族と親交があれば、地域で開催されている認知症サポーター養成講座や認知症予防プログラムなどに誘ってみる
- ウロウロしている男性には直接声がけをする