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家族の会に参加したもののアドバイスにイライラします【お悩み相談室】

看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.若年性認知症の夫(63歳)を介護しています。家族の会に参加していて、ちょうど同時期に夫が発症した方と仲良くしています。ただ、夫のほうが進行が早く、その友人から「うちはできるだけ外に連れ出すようにしている」「なるべく会話するようにしている」などアドバイスされるのですが「私だって精いっぱいやっている」とついイライラしてしまいます。そんな自分もいやで、友人とは距離を置こうかと考えてしまいます。(60歳・女性)

A.ご友人はよかれと思って、アドバイスされているんでしょうね。それがわかっていてもイライラしてしまう相談者のお気持ち、よくわかります。若年性認知症の進行は個人差が大きく、原因となる基礎疾患が違えば症状も異なります。同じ若年性認知症であっても、人それぞれだということをまずは理解しておきたいですね。

家族の会では、情報交換をしたり、同じような思いを共有できたり、介護をするうえで支えとなるような仲間に出会うことができます。一方で家族の会のメンバーから「ご主人の症状は、まだいいほうよ」「これからもっと大変になっていくわよ」といったことを言われ、落ち込んでしまったといった話も聞いたことがあります。

一番大切なことは、その会が介護者にとってリラックスできる場であるかどうかということです。会に参加するたびに介護者が緊張したり、イライラしたりしていては、介護される本人にとってもよくないと思うのです。若年性認知症の介護者の集まりは、家族の会だけではなく、若年性認知症を中心とした認知症カフェやサロンなどいろいろとあるはずです。こうした複数の集まりに顔を出してみるのもいいと思います。各都道府県に1人以上配置されている若年性認知症コーディネーターは、地域の集まりに詳しいと思うので、相談してみてください。

いくつかの集まりに顔を出す中で、自分が居心地のいい場所を見つけられるといいですね。その場を楽しめれば必ずしも深く関わる必要はないと思うのです。さまざまな集まりに参加して人間関係の幅が広がると、友人の言葉も一歩引いた気持ちで聞けてストレスを感じにくくなるのではないでしょうか。

【まとめ】若年性認知症の家族の会でできた友人からのアドバイスにイライラするときには?

  • 若年性認知症の症状や進行には個人差があることを理解する
  • ほかの若年性認知症の介護者の集まりに、いくつか参加してみる

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