祖父の介護は母に任せきり 父は何もせず私も仕事が…【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.私は認知症の祖父(85歳)、両親と住んでおり、祖父の介護は主に母(60歳)がしています。母は夜中も起こされたり、排泄(はいせつ)の介助をしたりしていて、疲れきっているようにみえます。祖父の実の息子である父は何もしません。私も働いているので介護のサポートはしづらく、母が頼んでくることもないのですが、何かできることはないでしょうか。(28歳・男性)
A.相談者がお母さんにできることは、2つあります。1つ目は介護保険サービスの利用を家族のみんなに提案することです。相談にあるようなお母さんの疲れた様子からすると、サービスを利用されていないのかもしれません。日中はデイサービスに通ってもらう、夜間対応のホームヘルパーを利用するといったことで、お母さんの負担はかなり軽くなると思います。
家族と同居しているのであれば、介護は家族が担うものという考えはいまだに根強くあります。お母さんからは言い出しにくいと思うので、相談者からおじいさんやお父さんにサービスの利用を提案してください。お母さんはまだ60歳なので今は体力があるかもしれませんが、介護は先が見えないものです。この先のことを考えても、今のうちからサービスを利用することをおすすめします。まずは相談者が介護保険サービスにはどんなサービスがあるのかなど、情報を集めてあげられるといいですね。
相談者にできる2つ目のことは、お母さんに労いの言葉をかけることです。「何かできることはない?」「お疲れさま」といった言葉をかけるだけで、お母さんの力になると思うのです。息子の言葉が力になるのと同様に、お父さんからの労いの言葉もお母さんにとっては大きいと思います。相談者からお父さんに、「お母さんにもっと声をかけてあげてよ」と伝えられるといいですね。相談者は働いているので、介護を手伝うのは難しいかもしれません。時間があるときには家事だけでも手伝えると、お母さんの気持ちはラクになると思います。「いつもお母さんのことを気遣っている」ということが、お母さんに届くといいですね。
【まとめ】1人で祖父の介護をしている母が疲れきっているようで心配なときには?
- 介護保険サービスの情報を集め、祖父や父に利用を提案する
- 母に労いの言葉をかける