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認知症の父。専門医に診てほしいが本人は地元の医師にこだわり…【お悩み相談室】

看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.父(80歳)は近所のかかりつけ医から初期の認知症だと言われ、処方された薬を飲んでいるのですが、見えないものに向かって話しかけるなど幻視があります。調べてみたところレビー小体型認知症の症状に当てはまるので、父には認知症を専門的に診てくれる病院を受診することをすすめているのですが、かかりつけ医とは長年の付き合いなので「先生が薬も出してくれているのだから大丈夫だ」「ほかの病院に行ったら先生に申し訳ない」といって聞いてくれません。(52歳・男性)

A.レビー小体型認知症と診断するためには、画像検査なども必要になりますし、確かにかかりつけ医での診断は難しいかもしれません。もしレビー小体型認知症なのにアルツハイマー型認知症と診断されているのであれば、薬や対応なども変わってくるので、相談者が考えている通り、一度認知症疾患医療センターなどで専門医に診てもらうほうがいいと思います。

専門医を受診することを拒んでいるお父さんに受診してもらうためには、ご家族からかかりつけ医に事情を話し、かかりつけ医からお父さんに一度専門医で診てもらうようにすすめてもらうのが一番いいのではないでしょうか。お父さんはかかりつけ医のことを信頼しているようなので、スムーズに受診してくれると思います。もしかしたら、幻視があることがかかりつけ医に伝わっていないかもしれません。まずはかかりつけ医を受診する際にご家族も付き添い、今のお父さんの症状を正しく伝えてください。

問題となるのは、かかりつけ医が専門医を紹介することを受け入れないケースです。近年はかかりつけ医が専門医を紹介するといった医療連携が定着していますが、いまだにかかりつけ医が「認知症なら自分も診られる」といって紹介状を書いてくれなかったという声は聞きます。もし、お父さんのかかりつけ医がこうした医師だったら、前述したような方法で協力してもらうのは難しいかもしれません。地域包括支援センターなどに相談して、相談員からかかりつけ医に事情を伝えてもらうというのも一つの方法だと思います。

ご家族が最も望まれているのは、正しい診断を受け、正しい治療や対応を受けることですよね。認知症疾患医療センターでは、認知症に関する医療相談のほか、家族の不安についても相談にのってもらえます。幻視などによって、お父さんもつらい思いをしているかもしれません。状況をみて、相談した内容をお父さんに伝えられるといいですね。

【まとめ】認知症の父がかかりつけ医を信頼していて、専門医を受診することを拒否している場合には?

  • かかりつけ医からお父さんに専門医への受診をすすめてもらう
  • それが難しければ地域包括支援センターや認知症疾患医療センターに相談する

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