認知症とともにあるウェブメディア

介護施設で、あるある探検隊♪

老化は熟成!コロナ対応新ネタ準備完了 あるある探検隊の活動報告66

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ半年以上、新型コロナウイルスの影響で思うように活動ができません。いまは自分たちの介護レクリエーションのノウハウを蓄えていくのみ! そこでコロナ禍で生まれた時間を活用して取得したのが、「健康ウオーキング指導士」の資格です。今回は、2人が学んだウオーキングの“効用“について語ってもらいます。

写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

ウオーキングが健康にいいことはなんとなく知っていたけど、歩くだけでこんなにもいろいろな効能があるなんて!
コロナ禍による自粛期間を利用して、日本ウオーキング協会が認定する「健康ウオーキング指導士」の資格を取得したレギュラーの2人は、通信講座の分厚い教材を開いて、改めて驚いたという。

健康ウオーキング指導士とは、ウオーキングに関する専門的な知見を学んで、生活習慣病などの未病・予防・疾患改善に役立てたり、心身の健康を維持促進するためのプログラムをつくったりする資格。2人が受講したのは、そのなかでも、健康づくりのためにウオーキングを活用する、より専門的な学習をした「ヘルスウオーキング指導士」の資格だ(連載第60回参照)。

これまでの研究データなどから示されたウオーキングの効能は、認知症の予防や機能回復に役立ちそうな要素が少なくない。たとえば、ウオーキングの効能としてもっとも知られている「健康面」。資格を見事ゲットし、晴れて「ヘルスウオーキング指導士」となった松本くんが、その効果について解説する。
「年を取ると脳の血流量が減って、酸素の供給量も減ってくる。これが認知能力の低下につながるとも言われています。アメリカの研究では……アメリカの研究では……えっと、すんません。教材のここ読んでいいですか?」
“新米”指導士の松本くんが読み上げた教材を要約するとこうなる。
定年退職した人の生活習慣から、脳の血流量と認知能力の関係を4年間追いかけたアメリカの研究では、ウオーキングなどで体を動かす習慣を保持している層は、認知能力をキープしている人が多かったという。さらにフランスの研究でも、60〜76歳の高齢者に1日45分のウオーキングを週2日、2カ月間実施してもらったところ、実施していない層よりも認知テストの結果が12%向上したという結果が報告されている。

さらにウオーキングは、介護度の高い高齢者にとっても日々の生活に喜びを与える最強のレクリエーションになる。「ヘルスウオーキング指導士」は、ウオーキングやトレッキングのオリジナルコースをつくって専門的な知見から健康を指導することができるから、ここはまさに力の発揮どころ。
今度は、西川“指導士”が言う。
「歩くコースの作り方も勉強しました。オススメは、四季を感じられる里山や、名所旧跡などの観光地。それも施設の仲間など、グループで歩くのが長続きしやすいのでいいそうです。ウオーキングをすると、幸福感を感じさせ、やる気を起こす脳内物質が出ることも知られています。高齢者の生きがいにもなるんですよね」

また、人々がウオーキングの習慣を持つことによる「経済効果」も意外に大きい。研究によると、ウオーキングによって健康になることで節約できる医療費は、1万歩当たり平均「14円」だとか。個人の医療費が減れば、国が負担する医療費の削減につながるうえに、みんなで歩いて地域の名産品をおみやげに買ったり、歩いて行った先でランチを食べたり、お茶をしたり。ウォーカーたちが落としていくおカネも地域の活性化に役立つのだという。

「日本はウオーキング人気も高く、ウオーキングにぴったしの里山や名所などがたくさんある。にもかかわらず、諸外国と比べるとコースの整備など遅れている部分も多いそうです。ウオーキングの経済的側面がもっと認識されれば、“健康”と“経済”の相乗効果で、ますますウオーキングが盛り上がってくると思います」(西川くん)

この先、新型コロナの状況が落ち着き、また施設に行って介護レクリエーションができるようになったときのために……。レギュラーの2人はいま、自分たちの介護レクリエーションのメニューに、ウオーキングの要素を採り入れられないか画策中だ。 

松本くん いやー、教材が分厚くて最初はほんま、気が遠くなったわ。しかも3冊(笑)。でも、ウオーキングの理論や実践について勉強しているつもりが、結局、認知症などの介護にも関係するいろんな知識が身についてよかった。

西川くん ウオーキングするときに、どう体重を移動させて、どうやって足を着地させるかといった実践的な歩き方のハウツーを学びつつ、ウオーキングを取り巻く社会環境の変化やさまざまな考え方、あるいは高齢者とウオーキングの関係など、歴史的側面や哲学的な内容も含めてたっぷり学んだ感じやったね。

松本くん たとえば、「年を取る」ってどういうことか、みたいな項目もあったな。身体的な老化の仕組みだけじゃなくて、「年を取るというのは、経験を重ねて熟成することと考えよう」とかな。世間では「年を取る」=「老化」=「劣化」みたいなイメージを持つ人もいるけど、そうじゃなくて「熟成」なんやと。近代の考え方は「枯齢」ではなく、「華齢」だというのは、なるほどと思ったわ。

西川くん その熟成したステージの人たちのなかでも、糖尿病の人向けとか、メタボリックシンドロームの人向けとか、筋肉をつけたい人向けとか、それぞれに合った歩き方があるってことも学んだな。利用者さんの数だけ介護レクの方法があるのと同じで、歩く人の数だけウオーキングの方法があるんやね。年を取ることが悪いことやないという考え方も、介護と一緒や。

松本くん そうそう、ウオーキングの勉強を通して、改めてシニア世代の人たちとの接し方を学んだ気分や。年を取るってスゴいですねと、ますます感じるようになった。考えてみると、僕らも実際に施設をまわってみて、「年を取るってイヤなことじゃない」って実感したもんな。

西川くん 年を取れば取るほど人生が華やかになっていくために、日々の生活にウオーキングを取り入れたらどうですか、という話や。足腰が鍛えられつつ、生きがいにもなる。で、続けることで介護を受けないでよくなるかもしれないんやから、これはなんとか僕らの介護レクにも応用したいところやね。

松本くん そやね、ウオーキングの可能性はものすごく感じるわ。僕らは、指導士としてウオーキングに適したオリジナルのコースをつくることもできるんやから、施設のスタッフさんに手伝ってもらいながら、レクの一環として施設周辺で“お笑い散歩”をするとかな。

西川くん 集団あるある探検隊やな! もちろん室内でも、ウオーキングの効能をいいとこ取りした“歩かないウオーキング”を考えていこうや。

松本くん ウオーキングは、僕らの介護レクの新しい“武器”やで〜。

西川くん 松本くん、それは確かにアルな!

「コロナ禍を生きぬく~認知症とともに」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

この特集について

認知症とともにあるウェブメディア