介護施設で、あるある探検隊♪

蕎麦は全国の名産品?介護レクの盛り上げテク あるある探検隊の活動報告61

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ半年以上、新型コロナウイルスの影響で思うように活動ができません。施設でも、レクリエーション介護士など外部の専門家を呼び入れることができず、スタッフたちは慣れない介護レクリエーションのネタ探しに一苦労していると聞きます。そこで今回は、レギュラーの2人がこれまでの活動で培った、利用者さんたちとのフリートークの盛り上げテクニックを紹介します!

介護施設でのイベント参加者に話しかけるレギュラーの西川さん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

これまでもこの連載コラムで何度か紹介してきたが、介護レクリエーションを成功させるために大きなポイントとなるのが、前半のアイスブレーク、つまり雑談などで場の緊張をほぐす時間だ。
そこで必要なのは、フリートークのテクニック。何気ない話をしながら、いかに利用者たちの気持ちを盛り上げ、話を掘り下げていくか。ここで利用者たちの気分を乗せ、関係性を築き上げれば、その後のレクリエーションの流れが断然違ってくる。
このときレギュラーの2人がよく使うテーマのひとつが「土地モノ」だ。その土地ならではの名物や観光名所、施設、おいしいお店、名産品……などなど話の“入り口”は多少のバリエーションがありつつも、本人のオススメを聞きながら、それにまつわる「記憶」に踏み込んでいく。
そこで今回は、レギュラーの2人が介護レクでいつもやっているトークの進め方を再現してみた。あくまでも一例であるし、もちろん急に話術が上達するわけではないが、参考になるテクニックが散りばめられているはずだ。

【レギュラー流アイスブレークトーク術】
松本くん 僕ら、ここに初めて来てなんにも知識がないんで、教えてもらっていいですか? お土産とか何がいいですかね。
西川くん 来る途中でも名産品らしき看板をいくつか見ましたけどね。
(シーン……)
松本くん 西川くん、おいしいものがないみたいやで、この土地は。
西川くん 何言うてんねん。失礼なこと言うんやない!
松本くん だって誰も言ってくれへんから(笑)。
西川くん いっぱいありすぎて、迷ってるんやろ。そういえば、来る途中の街道沿いに、なんとか大根っていう看板を見たで。えっと、何大根やったかな……。
利用者A ○○大根。
松本くん あ、聞いたことある! 有名じゃないですか。どこで採れるんですか?
利用者A ここの近くにも畑があるよ。
松本くん へー、こんな街中に畑が! で、普通の大根とどう違うんですか?
利用者A ちょっと小さいかな。
利用者B 辛いんだよ。
西川くん 買って帰るとしたらいくらするんですか?
利用者B 1本100円くらいかな。
松本くん え、1本4〜5円とかじゃないんですか。困ったな、僕ら貧乏やから手が出ないです。誰か僕らに買ってくれませんかー(笑)。
利用者C  それなら、蕎麦もおいしい。
西川くん 大根とお蕎麦。おろし蕎麦じゃないですか!
松本くん あー、だから大根が名産なのか!
(シーン……)
松本くん ちゃうんかい!
西川くん やめなさいって! おろし蕎麦じゃないなら、どうやって食べるんですか?
(シーン……)
松本くん 西川くん、失礼なこと聞いたらあかん。ここの蕎麦は素材がいいから、普通に食べるのがいちばんなんや。
西川くん なるほど。どの店に行ったらいいですかね。
利用者B それなら、○○庵かな。
松本くん 近いんですか?
利用者B 車ですぐだよ。
利用者C  それより○○屋のほうが近いんじゃないかしら?
利用者B でも、○○庵のほうが老舗だし。
松本くん ライバル登場! そしたらわかりました、僕は○○庵、西川くんは○○屋にわかれて食べますわ(笑)。
西川くん でも松本くん、蕎麦は大根より高いかもしれないで。
利用者A 蕎麦は普通の値段だよ。
松本くん でも、4〜5円とかはないような……。じゃあ、蕎麦を1〜2本から売ってくれるところってないですかね?
西川くん 蕎麦のバラ売りかい!

松本くん これまで何度も言ってきたけど、施設の利用者さんたちに話を聞くコツは、まずは何を置いても、こっちが「教えてもらう」スタンスになることやね。知っていても、知らないフリをする。向こうが先生、こっちが学ぶ生徒。その関係を徹底して、利用者さんたちが僕らに心を許してくれるようになるのがベストな形や。

西川くん そう、そう。まず、何を言われても驚くこと。「知ってます」は禁句や。「えー! なんですかそれ!」が基本で、「あ、聞いたことあります! あれってどこで採れるんですか!?」とか、「そんなんあるんですか!?」とか。驚きながら質問を入れて、利用者さんたちに会話を促すことを忘れちゃいけない。

松本くん 僕らがよく選ぶテーマは、食べ物。上の例のように、そこの土地の話からスライドしていくことが多いね。「どこで作ってるんですか?」「どこで売ってるんですか?」「いくらなんですか?」「ふだんも食べるんですか?」とか、話の展開は無限大や。

西川くん 前にも話した埼玉県東松山市の「やきとり」は、いい例やね。「この街でいいお土産ないですかね?」と聞いたら、1人が「やきとり」と教えてくれる。そうしたら、ほかの人が、やきとりなんだけど鳥じゃなくて豚なんだ、と。

松本くん そこまでくれば、こっちのもの。「え、豚? おかしいじゃないですか? 鳥と言ってるのに豚? ないです、ないです!」みたいに、とにかく話に乗っかって、そこから「どこで買えるんですか?」「どこで食べればいいですか?」などと質問攻めや。

西川くん ここで重要なのは、どんな答えが出てきても「バカにしない」「むげにしない」。代わりに、とにかく「褒める」。大した特徴がなくても、「素材がいいんですね」とか、「いいこと聞きました!」とか、とにかく前向きな姿勢で!

松本くん これは、もう一つの鉄板ネタの「恋愛系」の話になったときも同じやね。「防空壕の中で手をつないだ」みたいな思い出話が出てきたら、「えぇーー!! そうなんですか?」と、まずは大きなリアクションで「驚く」こと。実際は、わざと大袈裟にしなくても、普通に驚いてしまう話も多いしな。

西川くん 結局、最初は1人の利用者さんしか話してくれなくても、驚きながら質問攻めにしていくスタイルで進めるうちに、ちょっとずつ口をはさんでくれる人も増えていくのがパターンやね。

松本くん そのうちテーマが脱線して、ほかの矢(話題)も飛んでくるから、それも「ちょっと待ってください、その話もだいぶ気になるけど、まずは……」とキープしつつ、話が途切れそうになったときに、戻って引っ張り出す。そうして無駄なく話題を拾っていくことが大切や。

西川くん そう、そう、どんな声も拾っておく。このスタイルで、まったく会話にならないで困ったことってほとんどないもんな。

松本くん そうやっているうちに、A店とB店のどっちがおいしいかとか、ハワイ派と沖縄派のどっちかとか、会場を二分する対立軸ができて、あちこちから声が上がる状態になるときもあるしな。

西川くん 逆に、名産品を聞いてもまったく反応がないときは、「お蕎麦かな?」と振ってみる、てのもある。だいたい全国どこに行っても、蕎麦かうどんはあるからな(笑)。

松本くん それでもダメなら、スタッフさんに「何がおいしいんですか?」と話を振ってから、利用者さんたちに「へー、本当においしいんですか?」と質問スタイルに持っていく。こうやって、とにかくいろんな手を使って盛り上がりポイントを探りながら進める、てことやな。

西川くん まあ、でも僕らは2人だから、やりやすいところもあるな。なかなか反応がなくても、たとえば松本くんが「おいしいもんはないで、この土地は」みたいに毒づいて、僕が「失礼なこと言うんやない!」とかフォローしてるうちに、そんなやりとりがなんだか面白くなってくる。

松本くん 反応が悪くても、2人のしゃべりで進められるもんな。施設でも、スタッフさんが2人でしゃべりながらやってみるのがええかもね。

西川くん 松本くん、それは確かにアルな!

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