最期のお別れは、介護職の「よくあること」でもその悲しみにフタをしないで
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
その日、施設に知らせが届いた。
入院中の、あの方が亡くなったのだ。
「介護士をしてたら、よくあること」
それぞれに悲しみを閉じ込め、
いつもの勤務に戻っていく。
人との別れにも、慣れてしまった。
……そう強がった、自分を許して、また明日。
人から話を聞いただけで、
その人と最期のお別れを、済ませてしまう。
悲しいかな、そんな状況が、私たちには幾度となくやってきます。
特に介護職の方はそれが頻繁で、今回のマンガは「よくあること」のひとつではないでしょうか。
自身の悲しみよりも、まずは、
目の前の高齢者のケアに入らなければ。
介護職の方々は、そんな思いが根底にあるからこそ、別れの悲しみをおさえて、日々の仕事をまっとうされるのでしょう。
けれど、
気にしないふり、感じないふり、は、
知らぬうちに、心に大きなストレスを与えます。
自分はさておき、人のために生きる。
そういう優しい方が、どうしたって集まりやすいのが、介護職です。
人の最期を、悼む時間をつくることは、
ご逝去された方のためだけではなく、
ご自身の心の回復のためにも、必要なのです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》